Anthony T. Graftonによる講演“Defending the Humanities”

アメリカ歴史学会(AHA)の前会長であるAnthony T. Graftonが会長に就く前の、2010年11月1日にニューハンプシャー大で行った講演“Defending the Humanities”の動画。

Anthony T. Grafton — Defending the Humanities (Part 1 of 4)

Anthony T. Grafton — Defending the Humanities (Part 2 of 4)

Anthony T. Grafton — Defending the Humanities (part 3 of 4)

Anthony T. Grafton — Defending the Humanities (part 4 of 4)

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「人文学がなぜ重要なのか」をシンプルに伝えるキャンペーン“Humanities, Plain and Simple”への協力者募集中

人文学がなぜ重要なのか、自分にとってなぜ問題なのかについて、平易に、そして、シンプルに伝えようというキャンペーンへの協力が呼びかけられている。

このキャンペーン“Humanities, Plain and Simple”は、ITやニューメディア、デジタルヒューマニティーズの技術や発想を基に、人文学のアドヴォカシーのためのプラットフォームやリソースの提供を目指す4Humanitiesが行っているもの。

キャンペーンでは、人文学がなぜ重要なのか、なぜ自分にとって問題なのかをテーマに、文章や動画、音声、写真、絵といった形式での投稿が呼びかけている。書き方としては、真面目、皮肉に満ちてもいい、あるいは短くても、数ページにもわたっていい、特定のことだけでもあるいは人文学全般に関してでもよいとされるが、ただ一つ、日常使う言葉で多くの人に伝えるつもりで書くことが条件となっている。

キャンペーンにはすでに5本の文章が寄せられており、中には4Humanitiesの共同創設者Alan Liu氏による、”Discovery”をテーマにしたものも公開されている。

人文・社会科学系の老舗オンライン学術組織H-NetがH-Net2.0へ

人文・社会科学系の教員や研究者らのための国際的なオンライン学術組織であるH-Netが、H-Net2.0という新たなプラットフォーム(デモ版)を構築している。

詳しくはわからないが、いわゆる「マイページ」機能がついて、いろいろとカスタマイズできるようになるということのようだ。また、今後のソフトウェアの開発次第としつつも、イベントカレンダーの機能やクラウドソースでの文献管理ツールの提供なども行うとしている。

2013年に開催される20周年のイベントまでには、すべてがH-Net2.0に移されるようだ。

危機に瀕した人文学の将来のために “The Future of the Humanities”

2012年1月20日に、“The Future of the Humanities: A Think Tank”というウェブサイトが公開された。これは、主に文学理論等を専門とする、Paul Jay氏(Loyola University)、Gerald Graff氏(University of Illinois)、Gregory Jay氏(University of Wisconsin)の3氏が編集・運営を務めているサイトである。

この“The Future of the Humanities: A Think Tank”というサイトは、人文学の将来に関するニュース記事等の情報提供のためのハブ、あるいは研究者間の議論の場となることを目的として開設されたようだ。

ちなみに、Paul Jay氏とGerald Graff氏は、 2012年1月5日のInside Higher Ed.に、人文学の在り方や将来について論じた”Fear of Being Useful”という記事を寄せている。そちらも併せて読みたいところ。

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人文学の現状や今後に対する危機意識というのは、アメリカでもずいぶん強まっているのだろう。類似のサイトについてこのサイトでもこれまでいくつか取り上げてきたが、一度整理して論じてみる必要があるかもしれない。

人文系研究者のためのブログベスト50

1年前の2011年1月27日に、Online Education Databaseが人文系研究者のためのブログベスト50を公開している。

人文系と銘打っていても、実際にまとめられているのは、「美学・美術史」、「人文学一般」、「言語学」、「文学」、「哲学」の5つの分野。「歴史」のカテゴリーがないのが残念だが、関連するものはちょこちょこ載せられているようだ。

人文学とビジネスを結ぶ、ブリガムヤング大学の“Humanities+”という取り組み

アメリカのブリガムヤング大学人文学部が“Humanities+”という取り組みを行っている。サイトの説明によると、特に人文学部の学生は最初の働き口を見つけるためには、人文学の素養だけでなく、ビジネススキルや経験を身に着けプランを練っておく必要がある。そのためこの“Humanities+”では、学生に対して、米国内外のインターンシップや、教員のメンター付きの研究活動、副専攻・留学等の機会等を提供している、という。

説明だけを読むと、日本でもよくある学部生向けの就職支援かのように思うが、さらにこの“Humanities+”のブログでは次の2つの視点から「人文学と(ビジネス)社会」をテーマとした情報提供を行っている。

・“Humanities+”:伝統的な人文学領域と個々の職業との間を結ぶようなアイディアやリソースを提供する。

・“+Humanities”:ビジネス、社会学、エンジニア、法学部の学生等に対して、人文学部が提供するスキルがそれぞれのキャリアにとってなぜ役立つのかについて、その理由と学ぶ上での戦略を伝える。

上記いずれの視点も、サイトの説明にあるように、「ビジネスの場において人文学的スキルの有用性は十分認められている」という前提に立っている点が興味深い。つまり、単なる就職支援活動というわけではなく、人文学のアドヴォカシー活動としてこの取り組みはとらえられるべきなのだろう。

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いつだったかGoogleに入社する人文学専攻のドクター(?)について取り上げたアメリカの新聞記事があったり、最近ではイギリスの偉いさんは人文学を修めた人が多いという調査結果もあったりしたが、それに連なる取り組みと解せばよいか。

「人文学はビジネスの役に立たない」と思ってしまっている/思われていることの妥当性を、日本でも問われなければならないかもしれない。(もう問われているかもしれないけれど。)

イギリスの様々な職種のトップの学歴は人文系が多いことが明らかに

2011年12月17日に、イギリスのNew College of the Humanitiesが、FTSE100社のCEOや財界トップ等の学歴を調査した“A case for the humanities: Report presenting a qualitative and quantitative snapshot of professional life in the UK”という報告書を公開している。

それによると、調査した800人のうち60%が芸術・人文学・社会科学といった広い意味での人文学を学んできた人であって、理工系(STEM)を学んだのはわずか15%に過ぎないことが明らかになったという。つまり、「人文学教育は個人の資質を豊かにするだけでなく、実際に利益ももたらすものである」(“A humanities education is deeply enriching for individuals. But it offers great practical benefit too”)という。

その他の調査結果として、以下のようなこと等が挙げられている。

・先述の数字60%のうちのさらに60%が、美術史学や歴史学、文学、言語学、哲学といって「コア」な人文学を学んでいる。

・芸術・人文学・社会科学のバックグラウンドをもつ最も高い割合の職業グループは下院議員(MP)で、65%であった。

・反対に、芸術・人文学・社会科学のバックグラウンドをもつ最も低い割合の職業グループは、ラッセル・グループの大学の学長であった。

なお、同日New College of the Humanitiesは、高等教育で人文学を学ぼうとする学生向けの情報ポータルサイトとして“Choose Humanities”というサイトを公開している。