アメリカ歴史学会がデジタル研究の評価のためのガイドライン作成に向け委員会を設置

アメリカ歴史学協会(AHA)が、今年1月に、デジタル研究成(Digital Scholarship)の評価をテーマとしたアドホックな委員会”the Ad Hoc Committee on Professional Evaluation of Digital Scholarship by Historians”を設置した。

歴史学研究や教育活動でニューメディアを利用したり、オンラインでの学術成果の発表が進むなかで、それらを研究者の雇用やテニュア、昇進のプロセスに位置づけるようにするのが目的。2年前の2012年1月に、この問題を提起した文書がAHAの委員会に提出され、そして同じ年の6月にタスクフォースが設置されていたので、今回の委員会設置はこの流れの中にあると思われる。

Ref: A Call to Redefine Historical Scholarship in the Digital Turn

同委員会は、デジタル研究評価やオンラインコミュニケーションの現状を調査するとともに、現在既に大学やその他関連機関においてデジタル研究成果を研究者雇用等に活かしているモデルを精査するなどして、今年(2014年)秋までに研究評価ガイドラインを作成するとしている。

ガイドラインには次の2点が含まれることになるという。

1. Criteria for evaluating digital projects and online scholarly communication for hiring, promotion & tenure.

2. A framework for applying those criteria to help departments and promotion committees in using them for actual cases.

上は、要するに、評価基準とその基準を取り入れるための枠組みを設定することにある。

また、委員会はガイドライン等の作成にあたっては、研究機関や大学の多様性や電子出版におけるピアレビューの問題等、複数項目についても考慮すべきとされている。

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デジタルな研究をどう評価すべきか、日本もこの問題と無縁ではないし、今後取り組むべき課題だと思う。

イギリスの出版社団体が同国内公共図書館で電子ジャーナル8,400タイトルを無料提供 2年間限定のプログラム

2014年2月3日、イギリスのPublishers Licensing Society(PLS)の主導するプログラム”Access to Research”が、出版社団体・出版各社の協力を得て、同国内の公共図書館において電子学術ジャーナルの無料提供を開始した。2年間限定のパイロットプログラムとして行われる。論文タイトル数は150万超で、雑誌タイトルは、STM系が多いようだが社会科学領域も20%を占めていて、全部で約8,400点という。

協力している出版社は次の通り。

ALPSP, Bloomsbury Publishing, Cambridge University Press, Dove Press, Elsevier, Emerald, IOP Publishing, Nature Publishing Group, Oxford University Press, Portland Press, SAGE Publications, Science Reviews 2000 Ltd., Springer, Taylor & Francis, Versita, Wiley, Wolters Kluwer Health

さらに、ジャーナルの提供のためProQuestがSummonを提供している。

このプログラムは2013年に3か月間、国内の一部地域で実験的に行われ、それがこのほど全地方自治体にも開かれたようだ。プレスリリースによると、現在のところ、自治体の半数超が手続きを進めているという。

また、このプログラムの背景には、2012年に発表されて以来同国の学術情報流通に多大な影響を与えている”Finch Report”があり、そこにメジャーなジャーナルの出版社は公共図書館に学術論文のフリーアクセスを提供すべきだと提言されていたことにある。この提言に応えるべく、このAccess to Researchは立ち上げられたそうな。
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若手研究者の資料アクセス問題に対する解の一つとして実に興味深い。

ちなみに、利用は、公共図書館内での端末閲覧のみ、なのだろうか。やはり、アクセスのみでプリントアウトは不可なのだろうか。