英国国立公文書館が第一次世界大戦時の軍の日誌のデジタル化を完了 公開は今後

2013年4月8日、英国国立公文書館(TNA)が、第一次世界大戦の軍の日誌のデジタル化を完了したと発表した。今回は、特に利用の多い“WO95”という史料群のデジタル化が終わったとのことで、第一次世界大戦100周年を前にオンライン公開を予定しているという。

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WWIの研究は100周年迎えた後の方が史料の収集が楽になりそうだ。先行研究の収集が大変そうだが。

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個人所蔵の地域史料を掘り起こしデジタル化する“History Harvests”というプロジェクト

American Historical Associationの月刊誌“Perspectives on History”の2013年1月号に、“History Harvests”を扱った記事が掲載されており、このほどそれが会員以外にも公開された。

“History Harvests”とは、University of Nebraska-Lincolnの歴史学部が2010年に始めたプロジェクトで、James Madison Universityも実施している。これは、学生が地域の個人宅に眠る史料(文書史料に限らない)を掘り起こし、デジタル化するというものだ。だが、単に新史料を発見するだけではない。地域あるいは家族の歴史が、アメリカというより大きな物語にどのように接続するのかを、参加者とともに検証し、議論し、そしてまとめられる。その目的は、これまで見えなかったアーカイブズや物語を可視化させ、公の空間に連れ出すことにあるとされている。

公開された“Perspectives on History”の記事には、前段で紹介した、“History Harvests”の定義や意義だけでなく、実際にプロジェクトを実施する上での9つの注意点がまとめられている。それは以下の通り(意訳している)。

1.地域には様々な歴史が存在するので、テーマ/焦点を絞って実施すること。

2.集めた史料をどのように利用し、どのように扱うのかについて、丁寧に説明をすること。

3.大学内外の機関と連携して実施すること。

4.大まかなコンセプトとガイドラインを決めたら、あとは学生の自主性にゆだねること。

5.実施前の広報は力を入れること。

6.作業を迅速に行えるようフローは維持すること。

7.史料所有者と会える機会は当日だけなので、その時にオーラルヒストリーと史料に関する情報を集めること。

8.参加者にプロジェクトのテーマについての知識を提供したり、それぞれの持ちよった史料についての情報を語りあう機会を提供すること。

9.機関と地域コミュニティとの間の橋渡しをすること。

History Harvestsのウェブサイトには、プロジェクトで集めた史料等のほか、授業のシラバスや広報ポスター等も公開されている。

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史料保存×Digital History×Public History×歴史教育のバランスのとれたプロジェクトだと思う。日本だと地域資料デジタル化研究会があるが、これに歴史教育が加わったもの、と考えればよいのだろうか。


HASTACにおけるDigital History関係のブログシリーズ記事

2012年10月から12月にかけて、HASTACのDigital Historyグループメンバーが、“Two-Part Series”というブログシリーズを行っていた。

Digital Humanitiesが歴史研究者と歴史研究の実践にどのような影響を与えるのかについての議論を活性化させることを目的に行われたもので、Digital Historyに関連する8つのテーマを毎週計8週間にわたってポストされ、各テーマごとにブログのコメント欄を使って議論された。

テーマは大きく2つに分けられていて、前半ではデジタルツールに焦点をあて、後半ではPublic Historyと専門職環境におけるデジタルツールの使い方を論じている。具体的には以下の通り。

第1週 “Mapping and Spatial History”

教育ツールとしてのデジタルマッピングについて、特にGISとGoogle Earth、Social Explorerについての情報と授業におけるそれらのツールの利用の際の問題点を論じている。

第2週 “Digital Timelines”

歴史教育者と歴史研究者にとってのデジタルタイムラインとは?をテーマとしたもので、どちらにも活用できると論じている。

第3週 “Creating ‘No Es Facil’: A Visual Historiography”

インターネットが使えない場合にインタラクティブなプロジェクトを生み出すための、映画やマッピング、デジタルタイムライン、写真の利用について論じたもの。また、執筆者の行っているメキシコ系アメリカ人に関するフィルムプロジェクト“No Es Facil (It’s not easy): Navigating the Split Seams, Cracks and Crevasses of a Chicana Feminst Narrative”についても論じている。

第4週 “Digital Databases”

データベースについて、特にアクセシビリティに関する問題を指摘している。また、アーカイブ資料のデジタル化の重要性、OCRの入門解説、オーディオ・ヴィジュアルアーカイブの急増等についても論じている。

第5週 “Museums and Digital Tools”

歴史をめぐる議論への市民の参加を促すために、博物館・美術館がどのようにデジタルツールを利用すればよいか、その方法を論じている。博物館関係資料のデジタル化とその公開等。

第6週 “Amplifying Voices Through Social Media: My Experiences with Oral Histories and Social Media Platforms”

オーラルヒストリーとソーシャルメディアは現在どのような関係にあるのかをテーマに、自身の関わっているプロジェクト等を検証。

第7週 “Rewriting History Post Monograph”

執筆者はインディアナ大の図書館員。デジタルフォーマットでの歴史研究の成果公表における課題の検証をおこなっている。

第8週 “Professional Development”

DHだけに限らないが、メンターとの良好な関係構築の重要性について論じたもの。

神聖ローマの重要文庫“Bibliotheca Palatina”がデジタル化で「復活」へ

1386年ハイデルベルク大学設立にまでさかのぼり、30年戦争期後にヴァチカンとハイデルベルクに分かれてしまった、神聖ローマの最も重要な蔵書コレクションであるパラティーナ文庫“Bibliotheca Palatina”が、デジタル化技術で再現されるようだ。

2001年にハイデルベルク大学図書館が当該コレクションのデジタル化を開始し、2012年1月にはヴァチカン図書館も同様にデジタル化に着手したとのことで、これが終われば二つのデジタル化コレクションが再度一つにまとめられ、晴れて「復活」になるとのこと。

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Bibliotheca Palatinaを「パラティーナ文庫」と書くのかはちょっと自信ないが。

「歴史家のように考える」 英国立公文書館等がヴィクトリア朝期をテーマにした小学生向けウェブリソースを公開

2012年9月13日にイギリスの国立公文書館とヴィクトリア&アルバート博物館が共同開発したウェブリソース“The Victorians”を公開した。デジタル化した、ヴィクトリア朝期のイギリスに関連する公文書館所蔵の文書資料と博物館所蔵の博物館資料を小学生向けに提供するもの。

“The Victorians”は、ヴィクトリア女王・子ども・女性・万国博覧会・帝国・地域史の6つの項目に分かれている。このリソースのテーマは“Think Like Historians”で、小学生は一次史料を解釈するスキルと、過去についての疑問・問題に答えるためにそれら“エビデンス”を使うコンセプトを学ぶことができるという。

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歴史家の思考法を学ぶことを目的に、というのがいろいろ考えさせらえる。確かアメリカでも似たようなコンセプトの歴史教育があったかと。

スイス歴史学ポータルinfoclio.chがデジタル化『ルソー全集』を提供する“rousseauonline.ch”を公開

2012年はルソー生誕300周年ということで、ルソー年らしい。

これを記念してスイスの歴史学ポータル“infoclio.ch”は、7月10日、“rousseauonline.ch”をCCライセンスのもとで公開した。これは、1780年から1789年までにジェノヴァで刊行されたルソー全集(Collection complete des oeuvres)17巻、約10,000ページについて、オンライン版・PDF版・EPUB版の3種をフリーで提供するというもの。

テキストには、書誌情報がつけられており、また、オリジナル版とのページ番号の対応もさせてある。つまり、PDF等の文中に登場するページ番号をクリックすると、ジェノヴァ図書館のデジタルライブラリーで公開されているオリジナル版のルソー全集の当該ページが表示される。もちろん、全文検索も提供されている。

ちなみに、17巻の内容は以下の通り。

VOLUME 1. Ouvrages de politique

VOLUME 2. Julie ou la nouvelle Eloise, tome premier

VOLUME 3. Julie ou la nouvelle Eloise, tome II

VOLUME 4. Emile ou de l’education, tome premier

VOLUME 5. Emile, ou de l’education, tome II

VOLUME 6. Melanges, tome premier

VOLUME 7. Melanges, tome second

VOLUME 8. Theatre, poesie et musique

VOLUME 9. Dictionnaire de musique

VOLUME 10. Les confessions. Les reveries du promeneur solitaire.

VOLUME 11. Rousseau, juge de Jean-Jaques. Dialogues

VOLUME 12. Pieces sur divers sujets et recueil de lettres sur la philosophie, la morale et la politique

VOLUME 13. Supplement a la collection des oeuvres de J. J. Rousseau, tome premier

VOLUME 14. Supplement a la collection des oeuvres de J. J. Rousseau, tome second

VOLUME 15. Supplement a la collection des oeuvres de J. J. Rousseau, tome troisieme

VOLUME 16. Second supplement a la collection des oeuvres de J. J. Rousseau, tome premier

VOLUME 17. Second supplement a la collection des oeuvres de J. J. Rousseau, tome second

1921年英愛条約が電子書籍で無料公開

少し前、5月9日に、アイルランド王立アカデミー(Royal Irish Academy)のプロジェクト“Documents in Irish Foreign Policy”が1921年の英愛条約を初めて電子書籍化し、無料で公開した。アイルランドのDHネットワーク“Digital Humanities Observatory”とアイルランド国立公文書館との共同による。

フォーマットはEPUBとMobi、PDFとなっており、キンドルやiPad等で読むことができる。