第一次世界大戦史料ポータル”Europeana 1914-1918″ ついに公開

2014年1月29日、かねてから予告されていたとおり、Europeanaによる第一次世界大戦史料ポータル”Europeana 1914-1918″がリニューアル公開された。

主な史料は次の通り。

・個人宅に眠る未刊行の書簡・写真史料など。9万点以上の史料がデジタルかされている。
・Europeana Collections 1914-1918 プロジェクトとして行ってきた、各国の第一次世界大戦関連のデジタル化史料40万点以上。
・フィルムアーカイブ:European Film Gateway 1914プロジェクトによる660時間のフィルム。ニュースやドキュメンタリー、フィクション、プロパガンダ・反戦フィルム等が含まれる。当時の完全な形でのサイレントフィルムがたったの20%しか残っていないことを考えると、貴重なコレクションなのだとか。
・Digital Public Library of Americaや、オーストラリアのTrove、ニュージーランドのDigital New Zealandからの史料提供も。

史料のブラウジングは、書簡や日記、絵葉書等の「資料種別』や、プロパガンダ・捕虜・女性といった「テーマ」、イタリア戦線や東部戦線等の「戦線」で行うことができる。

ちなみに、公開に併せ、30日と31日にはベルリンの図書館で国際カンファレンス’Unlocking sources – The First World War online & Europeana’が開催されている。

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すごいすごいと言うのはそろそろやめて、こういうのをどうやって歴史学的に評価すればよいのかを考えたい。

英国立公文書館が第一次世界大戦の英国兵士の日誌をデジタル化公開 クラウドソーシングによる史料へのタグ付け協力も募集

2014年1月14日、英国国立公文書館(The National Archives)が、第一次世界大戦でフランスおよびフランドル地方で戦闘に参加した英国兵士の日誌をデジタル化公開した。

これは、同館の第一次世界大戦100周年記念プログラムの一環で行われたもので、これまで150万ページがデジタル化されている。今回公開されたのはその一部で、30万ページに留まるが、年内には全史料の公開が予定されている。

また、同館とImperial War Museums、そしてZooniverseの3機関が共同で、”Operation War Diary”というサイトも同時に公開した。こちらは、一般市民の協力を得てクラウドソーシングで史料へのタグ付けを行うものとのこと。

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ということで、#WWI に関するDHプロジェクトまとめにも追記

 

 

20世紀中東欧の記憶研究のためのネットワーク”European Network Remembrance and Solidarity”

2005年2月2日にドイツ、ハンガリー、ポーランド、スロヴァキアの文化大臣らが調印し、2008年に創設された、ヨーロッパの記憶と連帯のためのネットワーク”European Network Remembrance and Solidarity”。

20世紀史研究とその20世紀史をどのように記憶すればよいかの研究を促進することを目的とし、カンファレンス等を開催して国際的な知の交換・議論を通じて歴史を学ぶプロセスを広めるよう呼びかけるもの。

20世紀の中東欧の記憶研究に関わるようなニュースやイベント、記事やデータベース等がまとめられているので、この分野の方には有用だと思われる。

ちなみに今年10月にはベルリンで“European Remembrance” の第2回シンポジウムが開催される。

 

労働運動史・社会史研究者のためのポータルサイト”Social History Portal”

2013年6月4日に、International Association of Labour History Institutionsが“Social History Portal”のベータ版を公開している。EU等の助成を受けたHeritage of the People’s Europe” (HOPE)というプロジェクトの成果の一つとのこと。

これは、ヨーロッパの15の図書館等が所蔵する、18世紀後半から21世紀初頭までの労働運動史や社会史に関する88万点以上のデジタルコレクションへのアクセスを提供するポータルサイトである。また、社会史・労働運動史関係のニュースや論文情報についても提供しており、近現代史の当該分野の研究者は定期的に見ておきたいサイトだと思う。

 

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論文複写の提供サービスも行っているのが面白い。International Association of Labour History Institutions(IALHI)のネットワーク加盟館が労働運動史関係の雑誌論文のリストと文献情報を提供して、利用者側がポータルサイトからほしい論文を探して、所蔵館に対し複写依頼ができるようだ。

所属のない人でも可能なのかどうか、日本からでも依頼できるのかどうかについては未確認。

1940年パリ陥落、その記憶を共有するための歴史書連動サイト“Fleeing Hitler”

2007年に刊行されたバース大学のフランス現代史研究者Hanna DiamondによるFleeing Hitler: France 1940の関連ウェブサイトが、2012年11月18日に公開された。名前も書名と同じく、“Fleeing Hitler”。

同書は、1940年のパリ陥落後、南部ヴィシー政府を目指して避難した400万人近くの市民のその記憶を、当時の証言やメモ、日記を使って検証したもの。このウェブサイトは、同書刊行後に寄せられた、同じような経験を持つ人々が記憶を共有したいとの声を受けて開設されたものだ。

ウェブサイトでは、その記憶の共有のため、写真等とともに投稿するフォームが用意されている。投稿されたものは、ウェブサイトで閲覧できるしくみ。また、Googleマップ上にもマッピングされており、場所を確認できるようになっている。

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書籍と連動したウェブサイトの企画をたまに見かけるが、このような取り組みは歴史叙述を“本”という物理的な領域にとどめない/とどまらせないものとして興味深いと思う。専門書の広報としても一役買っているかもしれない。

※ リンク切れ修正。公開のお知らせが2013年3月15日のブログに移動していた。(2013.12.25追記)

第二次世界大戦期のオランダおよびその植民地史料の検索サイト “oorlogsbronnen.nl”

第二次世界大戦期のオランダおよびその植民地に特化した検索サイト”oorlogsbronnen.nl”。

オランダのDANS-KNAWや王立図書館、国立公文書館、5月4日5日委員会、視聴覚研究所、NIOD等による共同の戦争資料ネットワーク〝Netwerk Oorlogsbronnen”が提供しているもののようだ。アーカイブズや図書館等の所蔵する第二次大戦の史料、約200万点が検索できるとのこと。

70年前の今日を綴る 第二次世界大戦中の一英国人の日記ブログ“WW2: A Civilian in the Second World War”

1910年2月14日、イギリスはエセックス生まれのE.J. Rudsdale氏の、第二次世界大戦中につづられた日記を日々アップしつづけるブログ。E.J. Rudsdale氏は、1928年に故郷のColchester Castle Museumでキュレーターとして働き始めた人だとか。

ブログの記事は、70年前のその日に書かれた日記を転載しているもので、一市民の目から見た第二次世界大戦を「リアル」に伝えるものとなっている。

なお、このブログは、E.J. Rudsdale’s Journals of Wartime Colchesterという図書の姉妹編のようなもので、その本も同様に当時の日記をまとめたものとなっているようだ。(もちろん、本とブログは重ならないようにしているのこと。)

手間のかかる本の宣伝、といえなくもない。

CSICとスペイン文化省が“Catálogo Monumental de España”全39巻をポータルサイトで公開

CSICとスペイン文化省が、1900年から1961年にかけて刊行された未完のCatálogo Monumental de Españaをデジタル化しポータルサイトで提供を始めている。

Catálogo Monumental de Españaは、スペインの各県の文化遺産の登録と記録のために20世紀前半に行われたもの。

今回公開されたポータルサイト“Catálogo Monumental de España”では、CSICの図書館所蔵のCatalogo全39巻が提供されている。

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ありがたや。ただどうせなら、19世紀に行われた文化遺産保存のプロジェクトの成果も併せてデジタル化してくれたらもっとありがたいのに。

ヨーロッパ史学史電子図書館“ELIOHS”

ヨーロッパ史学史上の重要文献を提供する電子図書館。1996年開始のようだ。運営はトリエステ大学のGuido Abbattista氏とフィレンツェ大学のRolando Minuti氏が中心で、その他イタリアやフランス、アメリカの大学関係者が加わっている。

サイトでは、近代歴史学の古典や、歴史学方法論・歴史理論に関する著作とともに、その著作を著した史家の略歴と参考文献も提供している。対象は16世紀から20世紀までのもの。

公開されているテキストは、ELIOHSによってテキスト化されたものもあれば、他の電子図書館(GallicaやProject Gutenberg)で参照させるものもある。

この電子図書館の目的は、信頼できるテキストをインターネットで提供することにあるようで、テキスト化したものを使って分析しようというものではないようだ。DHとしてはこれを踏まえて次にどうするかが問題か。

ELIOHS: Electronic Libarary of Historiography

イギリスのウォーリック大学図書館によるスペイン内戦史料デジタル化プロジェクト

イギリスのウォーリック大学図書館の近現代史料センター(modern records centre)によるスペイン内戦史料のデジタル化プロジェクト。このプロジェクトでは、スペイン内戦に関するアーカイブズコレクション、1万ページ以上のデジタル化とテキスト化を行うという。

肝心のその史料は、労働組合会議(Trades Union Congress)の45のファイルからなるコレクションで、イギリスとスペイン政府関係者・政治団体・インターナショナル・英西の労働組合等などの通信記録やレポート、メモやプロパガンダ史料からなるという。

また、これに併せて、トロツキストのHenry SaraとHugo Dewarのコレクションを数点デジタル化するとのことで、これにはマルクス主義統一労働者党(Partido Obrero de Unificación Marxista)の史料も含まれているとのこと。

プロジェクトの完成は2012年春の予定。

内戦関係の史料のデジタル化は確かアメリカでもやっていたはず。

本国以外の史料も一度に検索できればよいのに。