月別アーカイブ: 9月 2011

サウスカロライナ大学による、17世紀イングランドの社会史を学ぶRPG“Desperate Fishwives”

National Endowment for the HumanitiesによるDigital HumanitiesのStart-up Grantsでたちあげられた、サウスカロライナ大学のRPGゲーム“Desperate Fishwives”。高校生や学部生を対象に、近世史がどのようなものかを理解してもらうことが目的とされている。

“Desperate Fishwives”では、Travaleという架空の村を舞台に、村人の一人となったプレイヤーが、近隣住民の問題(自殺や不義など)を解決しながら、警察権力などもない近世イングランドにおける下からの秩序維持のあり方を学ぶという。

プロジェクトメンバーの一人、Duncan Buell教授(コンピュータサイエンス)は「このゲームの目的の一つは、何かを学んでいると悟らせないことにある」という。また、メンバーの一人、Heidi Rae Cooley氏も「ゲームを通じて学生に、歴史がどのように明らかになるかを――個人の選択で出来事の結果がどのように変わるのか、状況に応じて変化しうるものであるということ――を知ってもらえれば」と話している。

今秋には、Buell氏とCooley氏はゲームを通じて人文学を学ぶGaming the Humanitiesという授業を共同で実施するという。

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学生時代、なぜ中世史好きが多いのかを院生仲間でしばしば議論していたが、その際大抵理由として出てきたのが、(想像の)中世ヨーロッパを舞台としたドラクエなどのRPGの影響だった。ゲームから歴史学に入るなら、それを使ってしまえばいいんじゃない?ということか。面白い。

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現代社会の問題を歴史学の観点から論じるオハイオ州立大学歴史学部の月刊誌“Origins”

“Origins”は、アメリカのオハイオ州立大学歴史学部における、Public Historyイニシアティブのプロジェクトとして、毎月発行しているウェブ雑誌だ。創刊は2007年10月の模様。

毎号雑誌では、大学の研究者等が歴史学の観点から現代の政治や文化、社会等に関する諸問題を、より広くかつ深い文脈の中で論じた記事を掲載している。記事には画像やマップ、グラフ等も掲載される。

最新号の2011年10月号では、国連の60年に及ぶPKO活動の歴史からその活動の現状や困難さが論じられている。執筆者は、同大学で国際政治や国際紛争等を教えるDonald Hempson氏とのこと。

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この取組みも、歴史学の知見を社会に「役立てよう」とするもののひとつだろう。

現代を知るために過去を学ぶ、というのが(多分)歴史学徒のスタンスの一つであろうが、それを実践している事例はあまりないかもしれない。

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歴史学が社会に応えるために トロント大学歴史学部の“History and its Publics”と“Hacking History”

カナダのトロント大学歴史学部のイニシアティブとして2010年11月に開設されたウェブサイト。

この“History and its Publics”は、IT技術の進展と社会の変化がカナダ社会において学問と大学の役割を変化させつつあるとして、これまでのような教育と研究の在り方に対する危機感を背景に開設されたものである。社会からの圧力や要請に対して研究者個人が単発的に対応するのではなく、旧来の方法とデジタルメディアを結びつけることで、研究者集団によるアウトリーチ活動を構築する必要があるとしている。

サイトは、同大学のMatt Price氏(科学史・科学哲学)によるもののようだ。また、このサイトの一部として、授業の一部として、歴史学とDigital Humanitiesのクロスさせることを目的とした、“Hacking History”というサイトも公開している。

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コンセプトは賛成するが、まだ余り作りこまれていない様子。Hacking Historyのサイトに掲載されているリンクが、カナダにおけるDigital History関連を調べる上で役立ちそうか。

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DARIAHとCLARINによる共同カンファレンス“Supporting Digital Humanities 2011”

人文社会科学におけるデジタルな研究環境の構築整備を目指す、ヨーロッパのDARIAHとCRLARINが、2011年11月17日と18日にコペンハーゲンにおいて、Supporting Digital Humanities 2011と題したカンファレンスを開催する。

カンファレンスのウェブサイトも公開されており、そこには、当日の報告題目が47件公開されている。(以下はその一部。)

・ Agiatis Benardou, Panos Constantopoulos and Costis Dallas: Classical Philology, Text-based and Holocaust studies facing digital research infrastructures: From practice to requirements

・ Matthew James Driscoll and Eric Haswell: XML for quantitative codicology

・ Jan Rietema, Doris Dr. Tausendfreund and Nicoals Prof. Dr. Apostolopoulos: How to process Oral History Interviews for academic use: The Archive “Forced Labor 1939-1945. Memory and History”  

なお、9月26日から登録受付が開始された模様。

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「未来はここに」 アメリカ歴史学協会第126回年次大会は「デジタルヒストリー」をテーマに

アメリカ歴史学協会(American Historical Association)が、2012年1月5日~8日にシカゴで開催する第126回年次大会のフォーラムのテーマを、デジタルヒストリーに設定している。2011年9月26日のAHAのブログで詳細が公開された。

AHAは大会について、デジタル技術による方法が歴史研究と人文学一般にどのような貢献をするのか、そのための議論をそこで行い、研究者とデジタル関係の技術者とが出会って新たな成果を提供しあうような場にしたいとしている。

大会では、THATCamp (The Humanities and Technology Camp) やDigging into Data Challengeのセッションのほかに、Digital Humanitiesのワークショップ、 GISを用いたSpatial Historyのプロジェクト紹介、“The Future Is Here: Digital Methods in Research and Teaching in History”と題して歴史学分野のDigtital Humanitiesのプロジェクトに関するトークセッションなどが開催される。

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有名どころ満載。行ってみたい。

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メディア史研究者に捧ぐ Media History Digital Library

映画や報道関連のアメリカの雑誌をデジタル化して公開しているサイト。

史料の対象年は1904-1963年(公開されている史料には73年もあるが…)で、すでにパブリックドメインとなったものを公開している。

現在公開の史料は20万ページ強。Internet Archiveのサイトで利用でき、ダウンロードも可能とのこと。

以下の史料を中心にデジタル化しているようだ。

Business Screen (1938-1973)

The Film Daily (1918-1936)

International Photographer (1929-1941)

Journal of the Society of Motion Picture Engineers (1930-1949)

Journal of the Society of Motion Picture and Television Engineers (1950-1954)

The Educational Screen (1922-1962)

Moving Picture World (1912-1918)

Photoplay (1917-1940)

Radio Age: Research, Manufacturing, Communications, Broadcasting, Television (1942-1957)

Radio Broadcast (1922-1930)

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「大学の教育研究が地域に与える経済効果等に関する調査研究」 文科省が公開

平成23年3月付けで、株式会社日本経済研究所が作成した文科省による委託研究「大学の教育研究が地域に与える経済効果等に関する調査研究」が、9月22日に公開されている。

冒頭次のようにある。

地方大学においては、学生のみならず、地域の住民や民間企業等を対象とする様々な活動が行われている。地方大学が地域にもたらす経済効果を把握するためには、大学が行うこれらの活動を整理する必要があると考えられる。…

そこで、附属病院を伴う総合大学であること、大都市圏に立地していないこと、学生数等大学の規模が同等であること等といった観点にもとづき抽出した3つの地方大学と、当該大学が立地する地域の民間企業、地方公共団体、有識者等からのヒアリングを踏まえ、地方大学で行われている活動とそれらの活動が地域経済に与えている効果を整理することとした。…

まず、地方大学で行われている活動を「教育」「研究」「社会貢献」「消費」の四つの類型に分類した。…

なお、比較対象として選ばれているのは、富山大・徳島大・長崎大の3校となっている。

最後に、「第2章 大学の教育研究が地域に与える経済効果の総合評価」「1.事例における地域への経済効果(まとめ資料)」(p.22)では、

…分析結果を総括すると、大学における様々な活動は地元県の経済に大きな効果をもたらしていることが明らかとなった。教育活動による所得増加効果、税収増加効果は地元県の経済にとって大きな効果になっている。それに対し、研究活動による効果は、共同研究等の相手先企業は県外に立地する企業が多いことから、地元県内はもちろんであるが、むしろ全国に効果をもたらしていることが想定される。大学が行う様々な社会貢献活動は、定量的な把握には至らなかったが、地域の人材育成や地域の行政改革等に寄与していることが分かった。また、大学が立地することによる効果は、様々な消費活動を通じて地元県の経済に波及効果をもたらしている。…

とあり、第2章の「2.効果分析における今後の課題」(p.42)で、次の2点で課題が指摘されている。

(1)教育活動による効果 

(2)社会貢献活動による効果 

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