インターネットのアカデミー賞といわれるWebby賞で、ソフィア王妃芸術センターによる「ゲルニカ再考」“Repensar Guernica”が受賞

インターネットのアカデミー賞といわれるWebby賞の今年の受賞作品が発表され、このうち、Cultural Institutionsの部門で、ソフィア王妃芸術センターによる「ゲルニカ再考“Repensar Guernica”」が受賞している。そのほかに同じ部門では、MOMAやカーネギーホール等が受賞。

Repensar Guernica, un archivo de archivos
http://guernica.museoreinasofia.es/

Repensar Guernicaは、「ゲルニカ」に関する資料約2千点を提供するデジタルアーカイブで、『ゲルニカ』の高精細画像も公開されている。全体的に丁寧に作りこまれていることがうかがわれ、実際2年以上を費やして作成されたそうだ。

圧巻の作品なので、ぜひ一度ご覧いただきたい。

El Museo Reina Sofia gana el premio Webby por la mejor web cultural del mundo
https://www.revistadearte.com/2018/04/24/el-museo-reina-sofia-gana-el-premio-webby-por-la-mejor-web-cultural-del-mundo/

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ラテンアメリカからのDHの発信と世界のDHへの貢献

ラテンアメリカのDHネットワークRed-HDが、今年6月から『デジタルヒューマニティーズ叢書』の刊行を発表している。(ちなみに、Redは”赤”ではなく、スペイン語で”ネットワーク”の意味)

今の所3巻分が予定されており、「recepcion, critica e institucionalizacion」「Lengua, texto, patrimonio y datos」「タイトル不明」の3つ。目次を読む限り、グローバルなDHの動向に絡むものが半分、スペイン・ポルトガル語圏の話題が半分程度と考えられる。

http://www.humanidadesdigitales.net/2018/04/11/preventa-biblioteca-de-humanidades-digitales/

また、カナダおよび英語圏で始まったThe Programming Historianをスペイン語訳する活動にもRed-HDは取り組んでおり、この度、翻訳からさらに歩みを進めた形で、Programming Historianのスペイン語版オリジナルコンテンツの募集を呼びかけている。

Red-HDが積極的にスペイン語圏のDHの発信を行い、さらに今年のDH2018がメキシコ・シティで開催され、これにもRed-HDが大きく貢献していることはまず間違いないわけで、世界的なDHへの貢献も顕著である。英語圏以外の動向も、眼を配っておくべきだろう。もちろん、日本を含め、東アジアもまた然り。

 

だが、一方でRed-HDの構成員を見ると、実際はかなりの程度メキシコ国立自治大学(UNAM)の研究者らが担っているように思われる。

筆者は特にRed-HDと繋がりがあるわけではないので、なんとも言えないところであるが、外側から見ている限り、スペインのDH研究者、研究者コミュニティとの連携は、あまり感じられない。Programming Historianのスペイン語オリジナルコンテンツの連絡先に、バルセロナのAntonio Rojas Castroさんのお名前がある程度だろうか。

http://www.antoniorojascastro.com/

 

 

日本では11月1日が「本の日」になっていたらしい。

ということを、「本の日」を研究しているくせに、最近ようやく知った。

書店新風会の提案で、昨年2017年から11月1日が「本の日」となっていたことを、読書推進運動協議会の機関紙『読書推進運動』(2018/2/15, No.603, p.4)の記事でようやく知った。

『読書推進運動』(2018, No.603,
http://www.dokusyo.or.jp/kikanshi/pdf/no603.pdf

見落としていたが、読売ほか、いくつかの出版系メディアが取り上げていた。

  • 11月1日は「本の日」

http://www.yomiuri.co.jp/life/book/news/20180129-OYT8T50099.html

  • 書店新風会の大垣守弘会長、「本の日」に意欲

https://www.shinbunka.co.jp/news2018/01/180115-03.htm

  • 11月1日を「本の日」に――書店新風会が制定

http://dokushojin.com/article.html?i=2280

また、申請先の日本記念日協会のサイトでも記事になっていた。

  • 「本の日」(11月1日)の記念日登録証授与式が、制定者の「書店新風会」による新風賞贈賞式・新年懇親会が開かれた東京・新宿のハイアット・リージェンシー東京で行われました。

http://www.kinenbi.gr.jp/mypage/1471

 

ちなみに11月1日となった理由は、

日付は「11」と「1」で
数字の「1」が本棚に本が並ぶ姿に見えることと、
想像、創造の力は1冊の本から始まる
とのメッセージが込められている。

とのことらしい。

出典:11月1日は「本の日」(大垣書店)

http://www.books-ogaki.co.jp/11%E6%9C%881%E6%97%A5%E3%81%AF%E3%80%8C%E6%9C%AC%E3%81%AE%E6%97%A5%E3%80%8D/

 

ユネスコが4月23日と定めているんだから、それに乗っかればよかったのではないだろうかと思うが、このあたり事情をもう少し詳しく知りたいと思う。

で、会報があるようなので、制定までの経緯を調べたいと思うのだが、この会の会報『新風』はどうやらNDLには2015年以降の最近の号が入っていない。新風会のサイトには連絡先もない。

大垣書店の会長さんがこの新風会の会長も務めていらっしゃるようだが、大垣書店に依頼すればよいのだろうか。

撮影した史料画像等を管理するためのソフトウェアTropyを使ってみて②:縦書きにする

前回の続き。

自分は横文字の史料しか使わないのであまり気にならなかったが、前回エントリの反応のなかで「縦書きはできるのか」というコメントがあった。

翻刻する場合、確かに日本語やアジア言語だとNoteエリアでの縦書きは必要なので、Tropyの質問場所であるForumsで尋ねたところ、運営者から次のような回答があった。

今のところ縦書き対応の予定はない。けど、ユーザの要求があるなら、そしてシステムがそれに対応できるなら、縦書きには対応したいと思う。

さしあたってCSSの設定で縦書きにする方法を教えていただいたので、それを自分で少しカスタマイズした結果は次の通り。

1. Tropyのメニューにある Help から Show log files を選択して開く。
2. logのフォルダが選択されているはず。それと同じ階層に次で作る設定用のCSSファイルを格納する。
3. 以下をコピーしてメモ帳か何かに張り付けて、style.css の名称で保存。

.ProseMirror {
writing-mode: vertical-rl;
text-orientation: upright;
margin: 0 auto;
}

4. Tropyを開きなおせば、以下のように、翻刻やメモ、注釈をつけることができるnoteのエリアが縦書きになっているはず。

Tropy_tategaki

(上記の画像史料は、NDLのデジタルコレクションの著作権切れのものを使用。http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1144621/6

ただし、この方法ではすべてのノートが縦書き仕様になってしまうみたいで、ある史料は縦書き、別のある史料は横書き、といった具合にはならない模様。

詳しい方がいらっしゃれば教えていただけると幸いです。

それと、Tropyの日本語化についても要望を出し、翻訳協力したいとはお伝えしてみた。現在その結果待ちというところ。

 

撮影した史料画像等を管理するためのソフトウェアTropyを使ってみて

Capture - Tropy - https___tropy.org_

Tropyというソフトウェアを使ってみた。

Tropyは、文書館で撮影した史料画像やデジタルアーカイブで公開されているデジタル化史料等をローカルで管理するためのソフトウェアで、2017年10月24日にver.1.0としてリリースされたものである。

他の人がどのように史料データを管理されているのか知らないが、自分はこれまで文献管理用ソフトのZoteroにメモをつけておいたり、OneNoteに訳した史料の情報を入れたりしていて、論文をまとめるときにそれらを参照するという具合だった。が、整理下手なので、どうしてもとっ散らかってしまっていたのが難点だった。

それが一元管理できるならということで、以下使ってみることにした。

  • Tropy概要

まず概要から。

Tropyは、Andrew W. Mellon財団の助成金を得て、アメリカのDHの研究拠点のひとつであるジョージメイソン大学のRoy Rosenzweig Center for History and New Mediaの研究者とウィーンの研究者らによって開発されたもの。

フリーかつオープンソースなソフトウェアで、前述のとおり、史料写真を管理することができる。

ここでいう管理とはすなわち、

・1ページずつ撮影した史料画像を複数まとめて一つのアイテムにできたり、
・テンプレートに従って史料に関するメタデータ(つまりはタイトル、日付、著者名、コレクション名やフォルダ名等)を入力したり、
・タグをつけたり、
・欄外にノートをつけておいたり、翻刻したり、

といったことができる。

  • 使えそうな機能

基本的な機能については、Tropyの公式サイトで動画が公開されているので、そちらがわかりやすい。

#動画では複数の画像ファイルをインポートしても問題なかったが、自分の環境ではしばらく固まってしまっていた。

よさげな機能だなと思ったのが、史料の一部分を選択して、その部分に対して注記や翻刻文を記述することが出来るというところ。Zotero等ではできなかったのでありがたいと思う。ちなみに、そのノート機能は1枚の画像に複数つけることができる。

また、メタデータの記述項目はテンプレートを変更することも、変更したものをエクスポートもできるとのこと。複数人でメタデータの記述を統一する必要があればよいのかもしれない。

  • 使ってみての感想

Tropyへインポートできる史料画像はJPGかPNGのみなので、PDFで管理されていると読み込みができない。いままで史料をPDFにしていたので、JPG等に変換するソフトを利用する必要がありひと手間かかってしまうのがやや面倒だが、まあ大したことではない。

ノートやタグを日本語でもつけられ、参照したい史料を行ったり来たりすることも楽にできそうなので、自分としては今後も使ってみようと思えるソフトだった。

管理に悩む歴史研究者の方はぜひどうぞ。

20世紀初頭から内戦までのカタルーニャの写真家Josep Maria Sagarraの写真データセット

Europeana Proのブログで、20世紀初めのカタルーニャの写真家Josep Maria Sagarraの写真データセットが紹介されている。

彼は、悲劇の一週間(Setmana Tragica)を写した写真で知られるようになり、Diario de BarcelonaやLa Vanguardia等で活躍、 1921年にはバルセロナの報道写真家協会(?)の”Agrupacio de Reporters Grafics de Barcelona”の結成にもかかわった人物とのこと。

 

Sant Jordiの日を撮ったものはないかと探してみるもののあまりめぼしいものはない。が、古書の蚤の市の写真はいくつかあるようだ。

2024907_photography_ProvidedCHO_Generalitat_de_Catalunya__Arxiu_Nacional_de_Catalunya_ANC_1_585_N_4237_13

Parades de llibre vell | Sagarra i Plana, Josep Maria
(ca) Parades de llibre vell – http://europeana.eu/portal/record/2024907/photography_ProvidedCHO_Generalitat_de_Catalunya__Arxiu_Nacional_de_Catalunya_ANC_1_585_N_4237_6.html.
(ca) Sagarra i Plana, Josep Maria. Generalitat de Catalunya. Arxiu Nacional de Catalunya – http://extranet.cultura.gencat.cat/ArxiusEnLinia/fitxaImatgeEuropeana.do?tipusUnitat=1&codiImatge=2297279.
CC BY-NC-ND – http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/

Zoteroに日本の歴史学におけるデジタル技術の活用を論じた文献情報をまとめるグループを作成しました

タイトル通りですが、文献管理ツールZoteroに日本の歴史学におけるデジタル技術の活用を論じた文献情報をまとめるグループとして、”History and Historiography of Digital History in Japan”を作成しました。グループには、2000年以降はあまりに増えていくので、ひとまず1999年までの文献情報を載せています。

 

GetImage

作成の目的は、「日本の歴史学におけるDHの歴史」について、実践された研究者による回想録のようなものではなく、実証的に論じられた通史が見当たらないことにあります。

上のように言い切ってよいかについてはもちろん不安はあり、例えば、「日本の歴史学におけるDHの歴史」を論じた文献に、
・『歴博』(140), 2007における「特集 コンピュータ歴史学の歴史
・後藤真「日本史学と情報技術―30年で変わったこと,変わらなかったことー」『研究報告人文科学とコンピュータ(CH)』vol. 2017-CH-115, no. 13.
等がありますが――特に後藤論文には「日本史学」とタイトルにあるように――歴史学全体を論じたものではない。

デジタルヒストリーは歴史学の体系内にいずれは位置づけられていくべき、と個人的には考えていますが、そのような場合(あるいはそうならない場合でも)、20世紀の歴史学研究において情報技術やデータベースあるいはパソコンの利用に関し、どのような議論があったのかは、ふり返りやすくしておいた方がよいと思い作成しました。これが目的です。

 

漏れが多分多数あるのではと思うのですが、ご存じの方、発見された方は、遠慮なくご登録いただけると幸いです。