オランダ史の雑誌”BMGN – Low Countries Historical Review”最新号がデジタルヒストリー特集

オランダやベルギー史に関する雑誌”BMGN – Low Countries Historical Review”の最新号(vol.128, No.4, 2013)が、デジタルヒストリーの特集を組んでいる。同誌は1969年にそれまで2つあったオランダ史の雑誌が1つになって誕生したもので、歴史ある雑誌のようだ。

オープンアクセス誌で、英語のものも複数ある。以下は、デジタルヒストリーの論文部分のみを抜粋。

“On Digital History”, Gerben Zaagsma,  3-29
“The Scent of the Digital Archive: Dilemmas with Archive Digitisation”, Charles Jeurgens,  30-54
“Big Data for Global History: The Transformative Promise of Digital Humanities”, Joris van Eijnatten, Toine Pieters, Jaap Verheul, 55-77
“Digital Historical Research: Context, Concepts and the Need for Reflection”, Hinke Piersma, Kees Ribbens, 78-102
“History as Dialogue: On Online Narrativity”, Chiel van den Akker, 103-117
“Public History in a Digital Context: Back to the Future or Back to Basics?”, Fien Danniau, 118-144

<Forum>
“‘Het einde van de geesteswetenschappen 1.0′ – ‘The End of the Humanities 1.0’ “, Geert Janssen, Kaat Wils, 145-146
“A Smell of Higher Honey: E-Humanities Perspectives”, Inger Leemans, 147-154
“Veins filled with the Diluted Sap of Rationality: A Critical Reply to Rens Bod”, Andreas Fickers, 155-163
“A Higher Form of Hermeneutics?: The Digital Humanities in Political Historiography”, Marnix Beyen, 164-170
“Who’s afraid of Patterns?: The Particular versus the Universal and the Meaning of Humanities 3.0”, Rens Bod, 171-180

 

ヨーロッパ史学史研究のためのリソースまとめ(イギリス・オランダ・スウェーデン・アイルランド・ポルトガル・スペイン・EU)

備忘のため、ヨーロッパの各国における歴史学論文・歴史家のデータベースをいくつかまとめておく。今度も見つけたら追加予定。

イギリスのInstitute of Historical Research作成。19世紀後半以降を対象。歴史研究者や研究機関、ジャーナル、テーマ、その他(論文・イメージギャラリー・インタビュー等)をまとめている。

オランダ王立図書館(Koninklijke Bibliotheek National Library of the Netherlands )とホイヘンス協会(the Huygens Institute for the History of the Netherlands:訳が不安)によるオランダ史文献テータベースプロジェクト。20万以上のタイトルが収録。

スウェーデン国立図書館によるスウェーデン史文献テータベース。1771年から2010年までが対象。

Ref:
http://www.kb.se/english/find/bibliographies/historical/

1930年代以降のアイルランド史に関する文献データベース。2013年10月現在で84,000件以上。

ポルトガル国立図書館とリスボン歴史学センターによる、ポルトガルの歴史家事典。歴史家だけでなく、研究機関・雑誌等もまとめられている。

1900年以降のスペインの歴史家ポータル。Biblioteca Virtual Miguel de Cervantesに収録されているものに限る。

13の欧州諸国から15のプロジェクトによる、トランスナショナルな歴史学研究の促進を目的とした共同プロジェクト。

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上を見ると国立図書館が関わるケースが多いように思う。ナショナルヒストリーだから、なのだろうか。

第二次世界大戦期のオランダおよびその植民地史料の検索サイト “oorlogsbronnen.nl”

第二次世界大戦期のオランダおよびその植民地に特化した検索サイト”oorlogsbronnen.nl”。

オランダのDANS-KNAWや王立図書館、国立公文書館、5月4日5日委員会、視聴覚研究所、NIOD等による共同の戦争資料ネットワーク〝Netwerk Oorlogsbronnen”が提供しているもののようだ。アーカイブズや図書館等の所蔵する第二次大戦の史料、約200万点が検索できるとのこと。

オランダ王立芸術・科学アカデミーのDigital Humanitiesプログラム“eHumanities”

オランダ王立芸術・科学アカデミー(KNAW)が2011年2月3日に開始した、Digital Humanitiesのプログラム“eHumanities”。情報技術の活用による人文・社会科学の可能性についての理解を広めることを目的としたものとのこと。

プログラムのテーマには以下の2つが挙げられている。

・Computational Humanities:ツールや方法、及び、データ収集・保存・処理などのアプローチ開発

・Cultures of e-Humanities:人文・社会科学研究における情報技術のインパクトに関する研究

また、eHumanitiesのサイトには10個ほどDH関連のプロジェクトが挙げられており、その中に依然このサイトで取り上げた“Alfa Live”も含まれている。

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前回は見落としていたようだ。反省。

c.f.

オランダ王立芸術・科学アカデミーによるDigital Humanitiesプロジェクトサイト“Alfa Live”

1940年までのオランダのスポーツクラブ・スポーツ協会・スポーツ雑誌のデータベース

Huygens Instituut voor Nederlandse Geschiedenis等が作成した、オランダのスポーツクラブ・スポーツ協会・スポーツ雑誌のデータベース。

Google先生の翻訳によると、1940年までの、同国における体操やホッケー、バスケットボール、テニスなどのクラブのデータ、約14,000件が収録されており、カトリック系やプロテスタント系、社会主義系の団体のものもそれぞれ収められているようだ。

オランダ歴史学ポータル“Historici.nl”

2011年8月1日に公開された、オランダのHuygens Instituut voor Nederlandse Geschiedenis (Huygens ING/「ホイヘンス・オランダ歴史協会」の訳でいいのか?)と、オランダ王立歴史学協会(Koninklijk Nederlands Historisch Genootschap :KNHG)が共同で構築した、オランダ史の歴史学ポータルサイト”Historici.nl”。

研究関連のイベント情報はもちろん、サイトでは時代別・テーマ別等で分けられた史料やデータベース等のウェブリソースが提供されていたり、歴史研究者用のコミュニティスペースも作成されている。そこでは、自分の経歴を公開したり、他の研究者と議論したりすることが出来るという。(もっとも、コミュニティ機能はまだ、のようだが。)

デジタル・ライブラリーを歴史研究者向けにカスタマイズし、それにResearchmapを組み合わせたもの、と形容すればよいのか。オランダ史研究者は必見だろう。これはすごい。