Googleとスペイン文化省の協力によるセルバンテス死去400周年記念ウェブ展示“The Routes of Cervantes”

2016年6月8日、Googleとスペイン文化省の共同によるウェブ展示“The Routes of Cervantes”が公開された。セルバンテスの死から400周年を記念したもの。

展示は、スペイン国内の8つの文化機関の所蔵する資料などを使って作成されており、その内容はかなり充実している。

例えば、最初にある”Discover the life” は、ナレーション&史料付きでセルバンテスの生涯を紹介しているし、その他18の展示では、ドン・キホーテの表象やセルバンテスを芸術で表現したもの、ストリートビューで回るセルバンテスの生家等がある。また、展示以外では999件のデジタル資料やいくつか動画も公開されている。

色々眺めていて面白いしためにはなるが、惜しむらくは、各展示に参考文献がつけられていないこと、だろうか(当然、資料の出典はある)。例え、デジタルな資料を多用して見栄えを良くしても、読み手がより深く知り、あるいは裏を取るための手立てを読み手に残しておかないと、どうも不親切なように思えてならない。

まあ、眺めているだけで十分面白いのですが。

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デジタル化一次史料サイトレビュー記事が期間限定で公開 アメリカ歴史学協会の機関誌で

アメリカ歴史学協会(AHA)の機関誌”American Historical Review”(AHR)の2016年4月号(Volume 121, Issue 2)で、”Digital Primary Sources”というレビュー記事が掲載されている。そのタイトル通り、オンラインで無料でアクセス可能なデジタル化一次史料のガイドとして作成されたもので、今後続刊でも同様のリストに掲載するため、クラウドソーシングで情報提供が求められている。

また、AHRの同じ号には Lara Putnamの“The Transnational and the Text-Searchable: Digitized Sources and the Shadows They Cast”というエッセイも掲載されている。

これらは、AHR2016年2月号掲載のデジタルヒストリーのレビュー論文と合わせて、60日間非会員にも公開されており、Putnam等の提起している問題に対するオープンな議論を喚起するのがねらいとされている。

Putnamの要旨(一部)は以下のとおり。デジタル化でテキスト検索ができるようになって、歴史学研究で前提とされた「場所」からの解放が進み、トランスナショナルヒストリーとつながった、というもの。

This essay explores the consequences for historians’ research of the twinned transnational and digitized turns. The accelerating digitization of primary and secondary sources and the rise of full-text web-based search to access information within them has transformed historians’ research practice, radically diminishing the role of place-specific prior expertise as a prerequisite to discovery. Indeed, we can now find information without knowing where to look. This has incited remarkably little reflection among mainstream historians, but the consequences are profound. …(後略)

まだ斜め読みしかできていないので、後で改めてよく読んでおきたい。

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1800年以降のスペイン・ポルトガル・ラテンアメリカの出版史ポータルサイトEditores y Editoriales Iberoamericanos (siglos XIX-XXI)”(EDI-RED)が公開

5月5日に、スペイン、ポルトガル、ラテンアメリカにおける19世紀から現代までの出版社(出版者)史に関するポータルサイト”Editores y Editoriales Iberoamericanos (siglos XIX-XXI)”(EDI-RED)が公開された。スペインのCentro de Ciencias Humanas y Sociales (CSIC)の研究プロジェクトGrupo de Investigación Cultura, Edición y Literatura en el Ámbito Hispánico (siglos XIX-XXI) – (GICELAH) と、老舗のと言っていい電子図書館であるla Fundación Biblioteca Virtual Miguel de Cervantesによる。

ポータルサイトは、スペイン、ポルトガル語圏の出版文化を代表する人物や叢書の類を中心に二次情報をまとめたものだが、面白いのは、カタルーニャ語・バスク語・ガリシア語も項を割いているということと、電子出版に関する参考文献もまとめられていることだろうか。

ちなみに、カタルーニャ語の出版の項目でリンクしているPatrimoni d’Editors i Editats de Catalunyaも同じような出版史に関するポータルサイトだが、こちらは、カタルーニャ図書館を中心にカタルーニャの関係機関が作成したもので、EDI-REDと同様の二次情報の他に、作家や出版社のアーカイブズ史料も提供しているようだ。

#前の記事のように本の日/サン・ジョルディの日を調べている身としては、このプロジェクトはずいぶんありがたい。

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本の日はなぜ4月23日なのか?

今日4月23日は、ユネスコの定める「世界図書・著作権の日」(World Book and Copyright Day)である。これは1995年にパリで開催されたユネスコ総会で採択されたことによる。

World Book and Copyright Day
http://www.unesco.org/new/en/wbcd

この記念日が4月23日とされた理由は、総会での宣言文で次のように述べられている。

「本総会はミゲル・デ・セルヴァンテス、ウィリアム・シェークスピア、およびインカ・ガルシラソ・デ・ラ・ヴェガが没した同じ日の4月23日を「世界・本と著作権の日」とする考えを採択し、ここに宣言することを勧告する。」
(訳は↓のリンク先の日本書店商業組合連合会のページから)

この「世界図書・著作権の日」の制定は、スペイン側からの提案によるものらしく、セルバンテス、インカ・ガルシラソとスペイン及びラテンアメリカ関係の人物名が記載されているからもそれをうかがい知ることができる。

もちろんスペインでもこの4月23日は、セルバンテスが亡くなった日として、「本の日」(Día del Libro)と定められている。今年は、亡くなった1616年から400年の記念として、スペインでは大々的な催しが一年を通じて開催されているし、セルバンテス関連のデジタルアーカイブもずいぶん登場している。

が、そもそも1926年に本の日が制定された当初は4月23日ではなく別の日だった。察しの良い方なら思いつかれるだろうが、セルバンテスの誕生日とされた10月7日が、本来、本の日だった。

この本の日を定めた1926年2月6日の勅令がなかなか興味深い。2月9日の官報(Gaceta de Madrid)を見ると、Eduardo Aunos労働・商業・産業大臣の解説があり、それは次のように始まる。

「イスパノアメリカの偉大なる諸民族の思想、伝統、そして生を広め表現する不滅にして聖なるものは、スペイン語の図書である…」

  • Real decreto disponiendo que el dia 7 de Octubre de todos los anos se conmemore la fecha del natalicio del Principe de las letras espanolas, Miguel de Cervantes Saavedra, celebrando una fiesta dedicada al libro espanol. Gaceta de Madrid num. 40, de 09/02/1926, paginas 707 a 708. Departamento: Ministerio de Trabajo, Comercio e Industria.
    https://www.boe.es/datos/pdfs/BOE//1926/040/A00707-00708.pdf

そして勅令の第一条では、毎年10月7日を、スペイン文学の王たるミゲル・デ・セルバンテス・サアベドラ生誕の日を記念して、スペイン語の図書の日として祝うことが定められている。続く条文では、アカデミーや大学、学校等での行事開催、図書館における図書購入と整理、地方の県議会による「公共図書館」(biblioteca popular)の毎年の設置、コンクールの開催、本の値引き販売等について記されている。

当時スペインからラテンアメリカへの出版市場開拓が目指されていたらしいので、上記解説のようなラテンアメリカを含めた表現になっているのだろうか。また、「世界図書・著作権の日」の宣言とは異なり、スペイン、あるいはスペイン語という国民性が全面に押し出された書き方になっているし、となるとカタルーニャ(語)やバスク(語)等にとって本の日の扱いは?といった疑問もわいてくる。さらに、各条文で定められた内容の運用実態は、出版史や図書館史、読書史などが絡み合う領域として色々と関心をそそられる。

それらの疑問はさておき、それでは、なぜ本の日は4月23日に改められたのか。

この日付変更もやはり勅令で定められ、1930年9月7日に発せられた。同法解説にはその理由が述べられているが、そもそもセルバンテスの誕生日が10月7日ではなかったかもしれないというのだ。

  • Real decreto disponiendo que la fiesta anual dedicada al libro espanol, establecida por Real decreto de 6 de Febrero de 1926, se celebrara anualmente el dia 23 de Abril, fecha del aniversario de la muerte de Miguel de Cervantes Saavedra; y que en el ano actual se celebre todavia el dia 7 de Octubre. Gaceta de Madrid num. 252, de 09/09/1930, pagina 1442.
    Departamento: Presidencia del Consejo de Ministros
    https://www.boe.es/datos/pdfs/BOE//1930/252/A01442-01442.pdf

セルバンテスが生まれた当時、洗礼を行う日と誕生日の間に日をおかないはずということで、洗礼日の記録をもとに誕生日が10月7日とされたが、どうも実際に生まれたのは9月29日(サン・ミゲルの日)らしいという。また、先行研究によると、9月の学校授業開始に近い時期ということもありテキストばかりが売れてしまうのを避けたいという思惑や、季節的にもあるのほうが望ましかった、という理由も挙げられている。

ということで、セルバンテスの亡くなった日とされた4月23日に移されたという。

ところで、この4月23日は日本では「サン・ジョルディの日」(Diada de Sant Jordi)として知られている(というほど知られていない)。

サン・ジョルディ(聖ジョージ/聖ゲオルギウス)の詳細はほかに譲るが、サン・ジョルディは1456年にカタルーニャの守護聖人とされ、15世紀にはサン・ジョルディのの亡くなった4月23日に愛する人にバラを贈る風習が始まったという。(サン・ジョルディ伝説には竜を殺した血からバラが咲くくだりがあるが、伝説が先か、風習が先か…また、サン・ジョルディの日の行事は連綿と続いていたわけではなく、19世紀における「発見」もあったようだが、それはまた今後の課題)

ともかくも、4月23日のサン・ジョルディの日に「本を贈る」という行為が結びついたのは、以上の通り本の日がサン・ジョルディの日と重なった1931年より後のことということになる。

本の日/サン・ジョルディの日は、その後のどのように結びつき、そしてスペイン第2共和政→内戦→フランコ独裁期→民主化とどのような変遷をたどったか、それに出版・書店・図書館等の各界はどのように参加しどのような恩恵を被り、スペイン国内・ラテンアメリカ等の地域的にもどのような違いがあったのか、そしてユネスコの採択の場ではどのような政治が行われたのか。あれこれとわいてくるこれらの疑問は今後の課題として、それでもやはりわからないのは4月23日が本の日とされ続けている理由である。というのも、現在ではセルバンテスが亡くなったのは4月22日とされているのだから。

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Historiografía Digitalを構築中: #DayofDH2016 に寄せて

今日、2016年4月8日は、デジタル人文学の日”Day of DH 2016“とされている。このDayofDHは、世界のDH研究者らが「実のところDH研究者は何やってるのか?」を紹介・アピールする日とされているので、自分も現在作っているDHサイトのことを書いてみようと思う。

筆者の専門は、スペイン近代史、それも史学史であり、構築中のサイト”Historiografia Digital”もそのスペイン史学史に貢献しうるようなものを目指している。

Historiografia Digital (まだ「箱」だけ)
http://historiadigital.sakura.ne.jp/historiografiadigital/project/

このサイトでは、19世紀のスペインにおける歴史家の書籍や論文、講演記録等(もちろん著作権の切れたもの)のテキスト化をクラウドソーシングで行い、研究利用可能なテキストデータを作ること、そしてそれを分析することを目的としている。

スペインは、2012年から2014年まで、ヨーロッパ諸国の中でもEuropeanaへの提供は2番目に高いらしく、デジタル化資料もそこそこ多い。むろん史学史で扱うようなデジタル化史料も多い。しかしながら、その提供データを見ると、OCRによるテキストデータはかなりの誤認識があり、そのままでは分析やテキスト検索では信頼できないレベルのものばかりである。

誰か何とかしてくれないものかとぼんやり考えていたが、このままでは単なる待ちぼうけになりそうなので、停滞したこの状況を動かすべくあまりにも小さいがこのようなサイトを作ろうと思った次第である。また、デジタル化公開元の機関は、筆者の研究関心を満たすようなデータの整理と公開はしてくれないだろう、という予想もあった。もちろんデータは提供元のCCライセンスに準じて公開するつもりであるし、可能であればスペイン側の研究機関や図書館などにも渡せられればと思っている。

サイトは、Sakuraインターネットにサーバーを借りて、OmekaをベースにScripto等のプラグインを追加して作っている。本当は今日リリースを発表すべく準備を進めていたが、残念ながら他の仕事もあって間に合わなかった。

実際に作ってみる/作り始めてみると、いくつか思うことがある。

一つ目は、「歴史家」とはだれか、どこまで含めればよいのか、という史学史上の問題。

職業研究者の登場は19世紀後半を待たねばならないが、それまでにも多数の歴史学に関する著作は発行されている。では、”Historia”とタイトルにあればよいのかというと、そう単純にもいかない。そもそもサイト構築の趣旨が、信頼できるようなテキストデータを作ることだけでなく、さらにDistant Readingのように巨視的に史学史を眺めることにあるので、そうなるとその視野をどこまで拡大させればよいかわからなくなる。歴史家とは何か、というのは結構古い問題だと思うが、自分の研究関心では限定的な捉え方をするのではなく、なるべく広く揺らぎのある形で包含する必要だろうと思う。その意味で、デジタルヒューマニティーズは–よく言われることだが–新しい視角を提供するものといえる。

二つ目は、自分独自のコレクション作成の難しさである。

「歴史家」の定義の揺らぎはさておき、ひとまず有名人の歴史書を扱おうとした場合でも、その史料の捜索に結構手間取った。利用可能なデータを検索する難しさである。

例えば、ひとまずコレクションの1つとして作成したModesto Lafuenteは、『スペイン全史』(Historia General de España )を著した、スペイン近代史学史上の重要人物である。もちろん、著作はデジタル化されているのだが、調べてみると初版本のデジタル化が見つからない。いかにも初版本と思われるようなメタデータの書きっぷりであっても、中身を見てみると刊行年がLafuenteの死後のものもあったりした。さしあたりいろいろ「放り込む」ようにしようと思う。

また、いろいろなデジタルアーカイブからデータを引き抜いて、自分のコレクションを作成することの難しさもある。これには、さしあたりZoteroを経由してデータをOmekaに移すようにしてみるつもり。

現状は、作りながら考える、考えつつ作るしかないが、本当に正式公開できるか、運用していけるのかどうかは正直不安なところではある。が、一人でやっているので、あまり深刻に考える必要もないだろう。

そんなわけでDayofDH2016の日は暮れていく。

 

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“Humanities World Report 2015″におけるデジタルヒューマニティーズの現況

世界の人文学の現況をまとめたレポート”Humanities World Report 2015″が刊行されている。

Poul Holm, Arne Jarrick and Dominic Scott . (November 2014). Humanities World Report 2015 . [Online] Available at: http://www.palgraveconnect.com/pc/doifinder/10.1057/9781137500281.0001. (Accessed: 7 January 2016).

Poul Holm, Arne Jarrick, Dominic Scottの3人による同名プロジェクトの成果で、2014年11月の刊行の模様。紙は有料だが、電子書籍であればCC BYでオープンアクセスとなっている。発行元のPalgraveの紹介は以下の通り。

This book is open access under a CC BY license. The first of its kind, this ‘Report’ gives an overview of the humanities worldwide. Published as an Open Access title and based on an extensive literature review and enlightening interviews conducted with 90 humanities scholars across 40 countries, the book offers a first step in attempting to assess the state of the humanities globally. Its topics include the nature and value of the humanities, the challenge of globalisation, the opportunities offered by the digital humanities, variations in funding patterns around the world, and the interaction between humanities and society. Despite the stereotypical view of humanists as scholars locked away in their ivory towers, the picture that emerges from this report is that they are deeply committed to the social value of their work and appreciate the long-term importance it has for addressing global challenges. The report will be of interest not only to researchers and students in the humanities themselves, but also to administrators and funders.

それで、上にも書かれているが、この中でDigital Humanitiesに一章割かれていたので、内容をかいつまんでメモしておきたい。

章の全体的な流れは以下の4つになる。
①世界におけるDHの研究センター
②DHの研究動向
③DHに対する人文学の研究者からの批判・インタビュー記録
④まとめ

①世界におけるDHの研究センター
ここでは、centerNetをもとに、DHセンターの分布・研究者所在の情報を確認している。
相変わらずの欧米における層の厚さが指摘されている。

②DHの研究動向
DHCommonsのプロジェクトを利用しつつ、DHの研究領域を以下の5分野に分類し、それにかかわる研究プロジェクトを例示している。

(1)Digital collections, archiving and text encoding
(2)Reading and analysing electronic texts
(3)Geospatial and critical discursive mapping technologies
(4)Big Data,’ social computing, crowdsourcing, and networking
(5)3D immersive visualisation environments

(1)はデジタル化・テキスト化(OCR/クラウドソーシング)の話題と、TEIを利用したメタデータ共通化の話題。
⇒ちなみに、ここでは国文学研究資料館の歴史的典籍に関する大型プロジェクトも言及ある(pp.68-69.)。

A major Japanese project is the Integrated Database of Classical Japanese Texts in the pre-Meiji Period. This database of documents from Japan’s pre-1868 era involves the National Institute of Japanese Literature as the core institute. The project proposes compiling a new database with links to bibliographies, images of original manuscripts and transliterated texts.

(2)は電子テキストの読解環境の構築およびテキスト分析研究について
Debates in DHを挙げて、DHコミュニティによる共同読解を指摘。
その他に研究手法として”stylometry”、”content-based analysis”(頻度分析・トピックモデル)、”metadata analysis”をあげている。また、TAPoR・Voyant・Textal・WordSeerに言及あり。

(3)GISのプロジェクト
Hypercitiesを筆頭に多数のGISプロジェクトが紹介され、日本のものとして、「『地域の知』の資源のグローバルな構造化と共有化プラットフォーム」(Global Integration of Regional Knowledge Resources and Intercommunity Platform)も言及されている。

(4)ビッグデータ分析 Mapping the Republic of Letters. Harvesting Speech Datasets等を例示している。

(5)遺跡の3D化等。例示はなし。

③DHに対する人文学の研究者からの批判・DHに関するインタビュー記録
DHに対する批判を次の4つの観点で紹介。
・Reward structures in academia do not recognise digital publication
→これはいわゆるDHの評価問題
・Failure to see how DH applies to some disciplines
・‘Where are the results?’ ‘Show me a project that does something
useful with technology’
・The dark side of DH
→2013年のMLA大会で話題となったDHのダークサイドの問題。

その他、インタビューでは以下のような話題があった。

・伝統的な人文学研究者の情報技術に対する恐れ・無理解
・DHによって伝統的な研究成果とその知識が無価値化されることへの恐れ
これらに対しては、DHに対する懸念は時間が解決するのでは、との指摘も。
・デジタル化そのものに対する期待と恐れ(何を得て、何を失うのか?)
・研究の質に対する懸念
・一方で、DHは共同研究を創出すること、また、リソース・成果へのアクセスの民主化も指摘

④まとめ
章全体の振り返り、要点をまとめている。

———-

・人文学におけるDHの現在的な位置づけを知るには、良いレポートだといえる。ただ逆を言えば、全体的な議論はほぼ想定内であり、あまり自分にとって目新しい情報はなかった。

・DHのトレンドの5点は妥当。あえて言えば、ゲーム研究も一領域としていれてもよいかもしれないが、それは(5)3D immersive visualisation environmentsに加わるだろうか。

・DHが”H”たる人文学研究にもっと浸透するには、伝統的な人文学研究者とDH研究者との対話の必要性を強調している。伝統的な人文学研究者からのDHに対する懐疑的な見方もあるので、確かにそうだろうと思う。一方で、情報学の研究者らはDHをどのように見ているのだろうかという疑問もある。DHは人文学であって情報学の一領域ではないとか、そういう見解もあるのだろうか?

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『ドン・キホーテ』ポータルをスペイン国立図書館が公開 第2部刊行400周年にあわせて

2015年7月8日に、スペイン国立図書館がIberdolaと共同で、『ドン・キホーテ』のポータルサイト”Quijotes”を開設した。これは、『ドン・キホーテ』第2版の刊行400周年を記念して作成されたもの。

quijote

ポータルサイトは、同館に所蔵されている、世界40か国語以上に翻訳・編集された、3,300版を超す『ドン・キホーテ』への一元的なアクセスを提供するものとなっている。具体的には、カスティーリャ語版をはじめ、他言語版やセレクション版等の解説とその書誌情報、同館が2010年に公開した、かなり作り込まれたデジタル化初版本『ドン・キホーテ』(Quijote interactivo)や、同館のLinked Dataサイトdatos.bne.esへのリンク等が提示されている。

Quijote Interactivo

日本語版の刊行史のページを見てみると、19世紀末に子供向けの部分的な翻訳が登場し、どれも英語版をベースにしたものであることや、その後、永田 寛定、高橋正武、会田由らによるカスティーリャ語版をもとにした翻訳がなされたこと等が紹介されている。

ちなみに、国立国会図書館デジタルコレクションで検索してみると、一番刊行年が早いものとして、1893年刊の松居松葉抄訳『鈍機翁冒険譚』(!)の中身をみることができる。

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