2017年「歴史学関係雑誌論文新着情報」のふりかえり

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昨年好評だった(?)「歴史学関係雑誌論文新着情報」の1年間のツイートの分析を今年もやってみた。今年は、前回扱ったインプレッション数等に加えて、KH Coderも使った分析も試みることにするが、まずは前回通り前提から。

  • 前提

そもそもこの「歴史学関係雑誌論文新着情報」(@historyarticles)のアカウントは、

・日本の歴史学関係雑誌論文のすべてを網羅しておらず、そもそもNDLの雑誌記事索引すら網羅できていない。

・同じ論文情報を2度ツイートしていたりするので、以下のインプレッション数等は全ツイートで同条件ではない。

というところがあるので注意されたい。

また、今回集計するに当たって重要な点は、今年4月にNDLの雑誌記事索引のRSS配信が一か月程止まっていたことが挙げられる。その後、すべて配信がなされたようだが、配信停止があった4~5月のツイート状況が他の月と異なり、それがフォロワーの反応にも影響を与えていると思われる。

  • 全体的な概況

上記の前提をおさえたうえで、全体としては以下のような結果となった。(なお、データ取得日は12月26日の夜で、カッコ内は前年比)

・2017年の総ツイート数 2,728件 (▲ 520)

・2017年のインプレッション総数 2,973,028件 (▲ 436,174)
(*インプレッション数とは、ユーザーがtwitterでツイートを見た回数。)

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撮影した史料画像等を管理するためのソフトウェアTropyを使ってみて②:縦書きにする

前回の続き。

自分は横文字の史料しか使わないのであまり気にならなかったが、前回エントリの反応のなかで「縦書きはできるのか」というコメントがあった。

翻刻する場合、確かに日本語やアジア言語だとNoteエリアでの縦書きは必要なので、Tropyの質問場所であるForumsで尋ねたところ、運営者から次のような回答があった。

今のところ縦書き対応の予定はない。けど、ユーザの要求があるなら、そしてシステムがそれに対応できるなら、縦書きには対応したいと思う。

さしあたってCSSの設定で縦書きにする方法を教えていただいたので、それを自分で少しカスタマイズした結果は次の通り。

1. Tropyのメニューにある Help から Show log files を選択して開く。
2. logのフォルダが選択されているはず。それと同じ階層に次で作る設定用のCSSファイルを格納する。
3. 以下をコピーしてメモ帳か何かに張り付けて、style.css の名称で保存。

.ProseMirror {
writing-mode: vertical-rl;
text-orientation: upright;
margin: 0 auto;
}

4. Tropyを開きなおせば、以下のように、翻刻やメモ、注釈をつけることができるnoteのエリアが縦書きになっているはず。

Tropy_tategaki

(上記の画像史料は、NDLのデジタルコレクションの著作権切れのものを使用。http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1144621/6

ただし、この方法ではすべてのノートが縦書き仕様になってしまうみたいで、ある史料は縦書き、別のある史料は横書き、といった具合にはならない模様。

詳しい方がいらっしゃれば教えていただけると幸いです。

それと、Tropyの日本語化についても要望を出し、翻訳協力したいとはお伝えしてみた。現在その結果待ちというところ。

 

撮影した史料画像等を管理するためのソフトウェアTropyを使ってみて

Capture - Tropy - https___tropy.org_

Tropyというソフトウェアを使ってみた。

Tropyは、文書館で撮影した史料画像やデジタルアーカイブで公開されているデジタル化史料等をローカルで管理するためのソフトウェアで、2017年10月24日にver.1.0としてリリースされたものである。

他の人がどのように史料データを管理されているのか知らないが、自分はこれまで文献管理用ソフトのZoteroにメモをつけておいたり、OneNoteに訳した史料の情報を入れたりしていて、論文をまとめるときにそれらを参照するという具合だった。が、整理下手なので、どうしてもとっ散らかってしまっていたのが難点だった。

それが一元管理できるならということで、以下使ってみることにした。

  • Tropy概要

まず概要から。

Tropyは、Andrew W. Mellon財団の助成金を得て、アメリカのDHの研究拠点のひとつであるジョージメイソン大学のRoy Rosenzweig Center for History and New Mediaの研究者とウィーンの研究者らによって開発されたもの。

フリーかつオープンソースなソフトウェアで、前述のとおり、史料写真を管理することができる。

ここでいう管理とはすなわち、

・1ページずつ撮影した史料画像を複数まとめて一つのアイテムにできたり、
・テンプレートに従って史料に関するメタデータ(つまりはタイトル、日付、著者名、コレクション名やフォルダ名等)を入力したり、
・タグをつけたり、
・欄外にノートをつけておいたり、翻刻したり、

といったことができる。

  • 使えそうな機能

基本的な機能については、Tropyの公式サイトで動画が公開されているので、そちらがわかりやすい。

#動画では複数の画像ファイルをインポートしても問題なかったが、自分の環境ではしばらく固まってしまっていた。

よさげな機能だなと思ったのが、史料の一部分を選択して、その部分に対して注記や翻刻文を記述することが出来るというところ。Zotero等ではできなかったのでありがたいと思う。ちなみに、そのノート機能は1枚の画像に複数つけることができる。

また、メタデータの記述項目はテンプレートを変更することも、変更したものをエクスポートもできるとのこと。複数人でメタデータの記述を統一する必要があればよいのかもしれない。

  • 使ってみての感想

Tropyへインポートできる史料画像はJPGかPNGのみなので、PDFで管理されていると読み込みができない。いままで史料をPDFにしていたので、JPG等に変換するソフトを利用する必要がありひと手間かかってしまうのがやや面倒だが、まあ大したことではない。

ノートやタグを日本語でもつけられ、参照したい史料を行ったり来たりすることも楽にできそうなので、自分としては今後も使ってみようと思えるソフトだった。

管理に悩む歴史研究者の方はぜひどうぞ。

20世紀初頭から内戦までのカタルーニャの写真家Josep Maria Sagarraの写真データセット

Europeana Proのブログで、20世紀初めのカタルーニャの写真家Josep Maria Sagarraの写真データセットが紹介されている。

彼は、悲劇の一週間(Setmana Tragica)を写した写真で知られるようになり、Diario de BarcelonaやLa Vanguardia等で活躍、 1921年にはバルセロナの報道写真家協会(?)の”Agrupacio de Reporters Grafics de Barcelona”の結成にもかかわった人物とのこと。

 

Sant Jordiの日を撮ったものはないかと探してみるもののあまりめぼしいものはない。が、古書の蚤の市の写真はいくつかあるようだ。

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Parades de llibre vell | Sagarra i Plana, Josep Maria
(ca) Parades de llibre vell – http://europeana.eu/portal/record/2024907/photography_ProvidedCHO_Generalitat_de_Catalunya__Arxiu_Nacional_de_Catalunya_ANC_1_585_N_4237_6.html.
(ca) Sagarra i Plana, Josep Maria. Generalitat de Catalunya. Arxiu Nacional de Catalunya – http://extranet.cultura.gencat.cat/ArxiusEnLinia/fitxaImatgeEuropeana.do?tipusUnitat=1&codiImatge=2297279.
CC BY-NC-ND – http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/

Zoteroに日本の歴史学におけるデジタル技術の活用を論じた文献情報をまとめるグループを作成しました

タイトル通りですが、文献管理ツールZoteroに日本の歴史学におけるデジタル技術の活用を論じた文献情報をまとめるグループとして、”History and Historiography of Digital History in Japan”を作成しました。グループには、2000年以降はあまりに増えていくので、ひとまず1999年までの文献情報を載せています。

 

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作成の目的は、「日本の歴史学におけるDHの歴史」について、実践された研究者による回想録のようなものではなく、実証的に論じられた通史が見当たらないことにあります。

上のように言い切ってよいかについてはもちろん不安はあり、例えば、「日本の歴史学におけるDHの歴史」を論じた文献に、
・『歴博』(140), 2007における「特集 コンピュータ歴史学の歴史
・後藤真「日本史学と情報技術―30年で変わったこと,変わらなかったことー」『研究報告人文科学とコンピュータ(CH)』vol. 2017-CH-115, no. 13.
等がありますが――特に後藤論文には「日本史学」とタイトルにあるように――歴史学全体を論じたものではない。

デジタルヒストリーは歴史学の体系内にいずれは位置づけられていくべき、と個人的には考えていますが、そのような場合(あるいはそうならない場合でも)、20世紀の歴史学研究において情報技術やデータベースあるいはパソコンの利用に関し、どのような議論があったのかは、ふり返りやすくしておいた方がよいと思い作成しました。これが目的です。

 

漏れが多分多数あるのではと思うのですが、ご存じの方、発見された方は、遠慮なくご登録いただけると幸いです。

 

人文学へのデジタル技術の活用の歴史をテーマとしたオーラルヒストリー

人文学へのデジタル技術の活用の歴史、あるいはデジタルヒューマニティーズの歴史をテーマとしたオーラルヒストリー”Computation and the Humanities: Towards an Oral History of Digital Humanities”が刊行されていた。1950年代からのデジタルヒューマニティーズの創成期の方々のインタビュー記録を文字起こししたもの。

思わずAmazonでハードカバーを注文するところだったが、SpringerのサイトでCC-BY-NC 2.5ライセンスで公開されていた。

インタビューの音声記録のほうは、それ自体がDHプロジェクトである”Hidden Histories”で公開されている。
Nyhan, Julianne, Flinn, Andrew.  Computation and the Humanities: Towards an Oral History of Digital Humanities. Springer International Publishing. 2016.

http://www.springer.com/it/book/9783319201696

Hidden Histories

http://hiddenhistories.omeka.net/

2016年「歴史学関係雑誌論文新着情報」のふりかえり

放置しっぱなしの歴史学関係雑誌論文新着情報のアカウントだが、Twitterアナリティクスを使って、2016年のツイートの様子やフォロワーの反応を調べてみることにした。

そもそもこのアカウントには、
・日本の歴史学関係雑誌論文のすべてを網羅しておらず、そもそもNDLの雑誌記事索引すら網羅できていないということ。
・同じ論文情報を2度ツイートしていたりするので、以下のインプレッション数等は全ツイートで同条件ではない。
というところがあるので注意されたい。
これらをおさえたうえで、以下のような結果となった。

・2016年の総ツイート数 3,248件
・2016年のインプレッション総数 3,409,202件
(*インプレッション数とは、ユーザーがtwitterでツイートを見た回数。)

・インプレッション数の多い上位10ツイートは以下の通り。

 

順位 “ツイート本文” “時間” “インプレッション”
1 “「防空」のジェンダー : 戦前戦後における日本の空襲言説の変容と布置 / 長 志珠絵 https://t.co/qalhH6Xi2w “2016-07-04 00:45 +0000” “9442.0”
2 “太平洋戦争期中島飛行機の機体事業と生産能率 / 佐藤 達男 https://t.co/BFDrMxX4pp “2016-01-18 01:12 +0000” “6910.0”
3 “筧克彦「やまとばたらき(皇国運動/日本体操)」の分析 : 明るき国家の肯定と身体技法 / 西田 彰一 https://t.co/0VviPei3sk “2016-05-15 21:22 +0000” “6140.0”
4 “特集「総力戦とジェンダー」にあたって (特集 総力戦とジェンダー) https://t.co/WjcwOwAC26 “2016-08-08 00:00 +0000” “5486.0”
5 “デジタル時代の歴史学 デジタル歴史学の最新動向 : フランス語圏におけるアーカイブ構築およびコミュニティ形成の事例紹介 / 長野 壮一 https://t.co/QEoir49gaD “2016-01-31 15:28 +0000” “5193.0”
6 “魔女研究の新動向 : ドイツ近世史を中心に / 小林 繁子 https://t.co/ujpuSYjY6q “2016-06-13 01:11 +0000” “5159.0”
7 “西洋史学はディシプリンか : 母国語による近代化の上に成立した世界的にユニークな学問 (特集 他者としての「西洋史学」) / 佐藤 正幸 https://t.co/s6FSELZpgn “2016-12-19 08:15 +0000” “4808.0”
8 “書評 ジェフリー・ハーフ著 星乃治彦・臼杵陽・熊野直樹・北村厚・今井宏昌訳『ナチのプロパガンダとアラブ世界』 / 佐藤 卓己 https://t.co/WkCp393vGF “2016-04-25 13:38 +0000” “4657.0”
9 “近世・部会報告 近世社会と学知 : 古賀侗庵と怪異から (2015年度大会特集号) / 木場 貴俊 https://t.co/GXqW2zWyDx “2016-01-24 14:55 +0000” “4632.0”
10 “満洲事変と日本陸軍の演芸人利用 : 宣伝活動としての慰問団派遣 / 石原 豪 https://t.co/70SFooCID7 “2016-11-13 17:24 +0000” “4547.0”

 

・最後に、エンゲージメント率の高かった上位10ツイートは以下の通り。
(*エンゲージメント率とは、エンゲージメント(クリック・リツイート・返信・フォロー・いいね)の数をインプレッションの合計数で割って算出したもの。平たくいうと、ツイートを見た数に関係なく反応の良かったもの、となるか。)

 

順位 “ツイート本文” “時間” “エンゲージメント率”(%)
1 “七世紀後半における境界の変遷過程 : 国境と評境を中心に (舘野和己教授退職記念号) / 村上 菜菜 https://t.co/S9UcrQ0NVK “2016-03-13 17:20 +0000” 11.09
2 “古琉球期における相続性についての一考察 : 首里系家譜に含まれる逸文記事の分析を中心に / 濵地 龍磨 https://t.co/W9OyY2EnDi “2016-12-12 02:44 +0000” 6.73
3 “近世スウェーデンにおける塩生産の認識 : スウェーデン重商主義者アンデシュ・ノルデンクランツを事例に / 齊藤 豪大: (32):2015.12. P.15-24 . https://t.co/aYeGR2W6Mf “2016-01-24 13:10 +0000” 5.40
4 “古代日本における唐風化政策と祥瑞思想の受容 / 小塩 慶 https://t.co/QNG4anOeEQ “2016-04-24 18:04 +0000” 5.12
5 “コメント : 「帝国」の断絶と持続 (特集 日本宗教史像の再構築 : トランスナショナルヒストリーを中心として ; 帝国日本と民間信仰) / 川瀬 貴也 https://t.co/wAuWaaIJkY “2016-02-07 23:32 +0000” 4.56
6 “制度論的政治史試論 : 4つの制度から考える / 清水 唯一朗 https://t.co/sVaR5d47hd “2016-12-05 11:51 +0000” 4.55
7 “幕末期民衆における「家」・「個人」意識と超越観念 : 菅野八郎の士分化運動を事例として / 青野 誠 https://t.co/yc8ft2HvOR “2016-12-11 23:44 +0000” 4.42
8 “山田耕筰研究の動向と現実性 / 栫 大也 https://t.co/uEz8pxaZNU “2016-02-28 17:03 +0000” 4.33
9 “曹操期の鄴建都の意義 / 木村 佐知子 https://t.co/oiaTDoP7Ns “2016-06-12 20:38 +0000” 4.30
10 “書評 板垣貴志著『牛と農村の近代史 : 家畜預託慣行の研究』 / 野間 万里子 https://t.co/oJ4Wyh8ZPW “2016-02-21 15:59 +0000” 4.08

 

以上の通りです。見逃した方は参考にしてください。

それではどうぞよいお年を。