今年2014年は第一次世界大戦の開始から100周年にあたる。昨年2013年はその終結95周年だった。
その周年記念にあわせ、ヨーロッパやアメリカなどでは様々なデジタルヒューマニティーズ/デジタルヒストリー(DH)に関するプロジェクトが行われている。ここしばらく、見つけたらはてなブックマークに取り込んできたが、それなりの数になってきたのでその一部をまとめてみた。
○史料収集や公開
- ドイツ:Heidelberg University Library: “Trench Papers” (Feldzeitungen) from the 1st World War – online
- イギリス:BBC: Revealing the World War One at Home project
- イギリス:Adam Matthew: The First World War: Propaganda and Recruitment
備考:WWIプロパガンダの史料 - フランス:Ministère de la Défense: Mémoire des hommes
備考:もともと2003年にスタートしたもの。デジタル化史料等を提供 - イギリス:The National Library of Wales等: Cymru 1914
備考:ウェールズ国立図書館を中心に、ウェールズの大学や文書館等の共同デジタル化プロジェクト - オーストリア:Österreichische Nationalbibliothek: 1914/2014: Projekte der Österreichischen Nationalbibliothek zum Ersten Weltkrieg
備考:オーストリア国立図書館のWWI100周年記念. 展示と75,000タイトルのEuropeanaでの公開、新聞史料の提供 - イギリス:The National Archives: First World War Portal
備考:イギリス国立公文書館によるデジタル化史料ポータル。教育リソースも。2014/1/14 日記をデジタル化公開。クラウドソーシングによる史料タグ付けプロジェクトも実施(Operation War Diary)。
EU:European Film Gateway: EFG1914 - 備考:ヨーロッパのWWIに関するフィルムアーカイブポータル
- ProQuest:ProQuest Launches Unparalleled Collection of First World War Trench Journals and Unit Magazines
備考:部隊内で非公式に発行された1,500タイトルの雑誌のデジタル化 - フランス:Bibliothèque nationale de France等:La “grande collecte” numérise des milliers d’archives inédites de la guerre de 14-18
備考:家庭にある資料を収集してデジタル化公開. - オーストラリア/ニュージーランド:The National Archives of Australia, Archives New Zealand:Discovering Anzacs
備考:オーストラリアとニュージーランドの両国立公文書館による。日記テキスト化プロジェクトや兵士の特定への協力を呼びかけたり、各家庭にある史料の提供を求めたりしている。 - オーストラリア:State Library of Queensland :Pitch In! Become a digital volunteer
備考:史料テキスト化、Flickr Commonsの写真タグ付等の協力呼びかけ - イギリス:JISC等:First World War Collections in the UK
備考:イギリスのWWI関連資料とその所蔵機関のリスト。DHではないが参考のため。 - イギリス:Her Majesty’s Court and Tribunal Service:Find a soldier’s will
備考:第1次世界大戦で戦死した英国の兵士23万人以上の遺言。英国法務省のHer Majesty’s Court and Tribunal Service - ヨーロッパ:Europeana:Europeana Collections 1914-1918
備考:10の国立図書館および8か国の関連機関の所蔵しているWWI史料の提供 - ヨーロッパ:Europeana:Europeana 1914-1918
備考:家庭にある資料を収集してデジタル化公開 - アイルランド:In Flanders Fields Museum:Ireland’s Memorial Records
備考:アイルランドの兵士の記録。In Flanders Fields MuseumとGoogleとの共同。
○教育リソース
- アメリカ:Virginia Tech:Scholars partner to create World War I-focused education program
備考:WWI教育リソース開発 - イギリス:JISC:World War I Centenary: Continuations and Beginnings
備考;テーマ、リソース種別ごとに教育向けの資料がまとめられている
○研究成果
- イギリス:Arts and Humanities Research Council:New AHRC film looks ahead to the 2014 WW1 commemorations
備考:WWI期のマンガが現代のポピュラーカルチャーに与えた影響についての研究 - ドイツ:Freie Universität Berlin等:1914-1918-online. International Encyclopedia of the First World War
備考:WWIオンライン百科事典作成プロジェクト
○研究サイト
- フランス:Le Centre de recherche de l’Historial de la Grande Guerre:Hisoire(s) de 14-18
- イギリス:JISC:World War One
備考:JISCによる教育研究のためのリソースポータル - フランス:Michaël Bourlet/Gwladys Longeard:Sources de la Grande Guerre
備考:WWIウェブリソースをまとめたブログサイト
○顕彰プログラム・プロジェクト関連
- イギリス:Imperial War Museums:First World War Centenary
備考:IWMの100周年記念プロジェクト. 地域・各国のミュージアムとの連携プロジェクトを率いる。 - イギリス:Step Short
- イギリス:BBC:The BBC announces its four-year World War One Centenary season
備考:BBCによるWWI放送シリーズ - イギリス/インド:UK Punjab Heritage Association:SIKHS IN WORLD WAR I
備考:シク教徒のWWIへの貢献についての顕彰プロジェクト “Empire, Faith & War: Sikhs in World War I” - イギリス:No Glory in War 1914-1918
備考:イギリス政府のWWI顕彰に対する批判キャンペーン - ルクセンブルク:the Master in European History at the University of Luxembourg:Tweets from 1914-18
備考:WWIをリアルタイムでつぶやくプロジェクト - ヨーロッパ:Wikimedia Commons:WWI related images from Wiki Loves Monuments 2013
備考:Wiki Loves Monuments 2013でのWWIモニュメント - アメリカ:The World War 1 Centennial Commission:World War One Centennial Commemoration
c.f. セルビア:in Serbia:Serbia’s Prime Minister warns against the “revision of history” during First World War Centenary
○ニュースサイト・その他
- Centenary Digital Ltd.:Centenary News
備考:WWIニュースサイトとして秀逸 - フランス:Archives et bibliothèques participant à l’opération Europeana Grande collecte nationale 1914-1918
備考:EuropeanaのWWIコレクションのフランス国内の文書館・図書館協力機関マップ
もちろん上記の他にももっとさまざまなものがあるが、力尽きたのでひとまずここまで。今後もアップデートは続けていきたい。
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○まとめてみて、いくつかの問い
- 史料デジタル化プロジェクト、なかでも日記のデジタル化/テキスト化が多いように思う。社会史等への影響はどのように考えたらよいのだろうか。あるいは、デジタル化史料はどのように活用できるのだろうか。
- 次の100周年、すなわち第二次世界大戦100周年に向けて、これらのDHプロジェクトをどのように評価すればよいのだろうか。
- 今後もアップデートをする予定だが、やはり言語上の問題から東側の調査が弱いのが致命的。
第一次世界大戦は全然専門外ではあるが、ただ上記の問い/テーマは研究を進めていきたいと思う。
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