東邦大学理学部公開講座「『源氏物語』をコンピュータで分析する」(10月1日)

2011年10月1日に、東邦大学理学部公開講座として、「『源氏物語』をコンピュータで分析する」が行われる。講師は、同志社大学文化情報学部の村上征勝教授。公開講座は事前申し込み不要、無料とのこと。

要旨は以下の通り。

コンピュータの進歩は学問の研究方法にも影響を与えつつあり、文学の分野でもコンピュータを用いた新たな研究が始まっている。この講座では、日本古典文学の最高峰とされる「源氏物語」に関しコンピュータを用いてどのような分析が試みられているかを紹介する。

「源氏物語」は、成立後千年を経ている。今日まで、多くの人々によって親しまれ、多くの文学者の研究対象になってきた「源氏物語」であるが、紫式部が54巻すべてを書いたのかどうかという点や、54巻が現在の巻序で成立したのかどうかなどに関して、疑問は残されたままである。このような疑問の解明を目指し、「源氏物語」の文章をコンピュータで数量的に分析する研究が進められている。従来の記述内容や文意の検討という研究法とは全く異なる、単語や品詞の出現数などの文章の数量的性質に注目した分析法によって、どのようなことが明らかになってきているかを紹介する。

東大東洋文化研究所の「谷文晁派(写山楼)粉本・模本資料データベース」

2011年7月14日に、東京大学の東洋文化研究所が、江戸時代後期に活躍した江戸南画の領袖、谷文晁(1763~1840)一門による粉本群についての画像データを検索できる「谷文晁派(写山楼)粉本・模本資料データベース」を公開した。

谷文晁一門については以下の説明がある。

画家は習画過程から過去の画像を学び、師匠から粉本を受け継ぎ、さらに自ら様々なイメージを収集して自分なりのストックを作っていく。つまり、画家は各々画像データベースを持っており、それは完成画のみでは知り得ない絵画史観を覗くための資料となる。のみならず、谷文晁一門は松平定信(1758~1829)による『集古十種』(1800年公刊)編纂に関わって什物調査を行っており、その規模は国家的な文化財行政プロジェクトというべきものであった。その意味で、この粉本群が江戸時代後期の一画家が見た古画群という枠組みを超え、江戸時代後期における東アジア絵画の理解を復元的に考察するために重要な資料群である。(板倉聖哲)

「研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン(実施基準)に基づく体制整備の実施状況報告書について(分析結果報告)」 文科省が公表

文科省が、「研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン(実施基準)に基づく体制整備の実施状況報告書について(分析結果報告)」を9月5日に公表している。

趣旨は以下の通り。

文部科学省では、「研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン(実施基準)」(平成19年2月15日文部科学大臣決定)(以下、「ガイドライン」という。)第7節に基づき、ガイドラインを踏まえた機関における不正防止の体制整備等の実施状況についての報告書(以下、「報告書」という。)の提出を機関に求めている。

機関から提出された報告書について、その記載内容の分析を行うとともに、別途実施した現地調査結果の分析を併せて行い、機関におけるガイドラインへの対応状況を整理した結果をここに報告するものである。

機関におかれては、この分析結果報告を参考にして検討し、不正防止の適切な体制整備等に取り組んでいただきたい。

京都のバーチャルなDigital Humanities研究機関「文化とコンピューティング京都研究所」

たまには日本の話題を、ということで「文化とコンピューティング京都研究所」。

これは、京大の大学院情報学研究科と京都高度技術研究所、京都リサーチパークの3機関が企画・運営を行っている、バーチャルな研究所である。

ホームページの趣旨説明には以下の通りある。

国際社会は今後、人口、エネルギー、環境、食料などの多くの問題に直面します。

そうした課題を克服するためには、地球規模の合意形成が必要となるでしょう。

他国の文化を理解し、対話を通じてその違いを超えてゆくために、情報学の寄与が求められています。日本の産業が将来に渡って世界で重要な位置を占めるためにも、多様の文化との共存が大切になってゆくでしょう。

そこで、文化とコンピューティングに関わる問題意識や研究成果を共有するために組織を超えたバーチャルな研究所を構成します。大学や研究機関などの研究者が集まり、産官学を含む様々な連携を育むことにより、効率や品質とは違う価値を京都から生み出して行きたいと思います。

つまり、現代社会が抱える地球規模の問題を解決するために、Digital Humanitiesによって文化交流の促進し、グローバルな合意形成を行おう、ということのようだ。

研究プロジェクトは、京大の研究者がメインで、そのほかに、龍谷大と立命館大から参加しており、言語研究、文化財・文化遺産のデジタルアーカイブが多い模様。

立命館グローバルCOE、「近世春本・春画とそのコンテクスト」のウェブ展示英語版を公開

立命館大学のグローバルCOE「日本文化デジタル・ヒューマニティーズ拠点」が「近世春本・春画とそのコンテクスト」のウェブ展示英語版を公開している。

文科省の「人文学・社会科学の振興に関する委員会(第6期)」配付資料(第1・2回)を見て

文科省が、人文学・社会科学の振興に関する委員会(第6期)の第1回と第2回の配付資料を公開している。人文・社会科学系の研究環境に関するデータもまとめてあって、なかなか興味深い。

眺めていて気づいたこととしては、

・「学術振興のための研究者間での議論そのもの」の振興についての議論があっても良いのではと思う。

・大学所属の研究者にとって、研究活動よりも重くのしかかっている(?)「教育活動」についても議論に含められてもよいかもしれない。

…しかし、人文学・社会科学 関連データ(平成23年6月)を見ていて、「我が国の人文・社会科学の研究者は、研究者全体の1割。」とは寂しい限り。その1割にどれほど多くの研究分野が含まれているのだろうか。