アメリカ歴史学会会長 「若手のテニュアへの就職状況は改善する見込みはもはやない。そのため…」

2011年9月26日に、アメリカ歴史学会(AHA)のウェブサイトに“No More Plan B: A Very Modest Proposal for Graduate Programs in History”という記事が掲載されている。執筆は、AHAの会長のAnthony T. GraftonとExective DirectorのJim Grossmanの二人である。

ここでいうPlan Bとは、博士課程の学生が、通常目指す研究職(Plan A)ではなく、それ以外の職に就職するということ。大学院に入る学生はその多くが研究職(テニュア)への就職を夢見ているものだが、Grafton会長らは、1980年代と2000年代の一時期を除いて歴史系の研究職のポストはコンスタントに減り続けており、この就職難は一時的なものでないから、高等教育への公的資金投入の減少等もあって今後テニュアのポストが拡大する可能性はないと断言している。そのため若手に対しては、研究職以外にも働き口はあるのであって、そのような研究職以外への就職を支援するとしている。また、学界に対しては、この就職難の現実を直視していないと指摘すると共に、このような状況にあっても大学院教育が旧来通りのままで、研究者の再生産に終始していると批判する。

そして、学界及び現職の研究者に対する改革の提案が次に続く。

・歴史学博士号取得者の研究職以外への就職先は、軍や下院、博物館、アーカイブズ、ナショナルパーク、国際ビジネスコンサルタント、高校教師、編集者等と多様であるという現実がある。歴史研究者が身につけるスキルは研究職以外にとっても必須のものであるため、博士課程学生に対する教育は、研究職のみを想定したものでなく、就職の現実に即したものとするべきである。それには、研究者の態度と仲間内で語り合う「言葉」を改めるとともに、学生に対して歴史学が文化施設や私企業にも貢献しうる学問であることをはっきりと伝えるべきである。

・博士課程の教育のあり方を見直し、歴史研究一本に絞り込むのではなく、博士課程の学生が多様な学問領域を学べるようにすべきである。(それが結局は学生の博論に新たな視野をもたらすものとなる。)

以上を述べたあと、最後にもっとも重要なこととして、博士課程の学生が研究職に就職したいにせよ、企業や政府に勤めようとするにせよ、大学のアドバイザや学部当局からしっかりと支援をうけられるのだということを、学生本人にはっきりと示すことが重要だとしている。

なお、AHAのウェブサイトにも書かれているように、このAHAの記事と併せてInside Higher EDの記事も併せて読みたいところ。

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