日本学術会議が提言「社会のための学術としての『知の統合』―その具現に向けて―」を公開 Digital Humanitiesへの言及も

2011年8月19日付けで、日本学術会議が提言として「社会のための学術としての『知の統合』―その具現に向けて―」を公表している。

この提言の目的は冒頭次のように語られている。

…想定外の状況をあらかじめ極限まで排除した設計を可能とし、かつ人類や社会の抱える複雑な課題の俯瞰的な解決を可能とする「知の統合」を実現するための「新たな挑戦」が、いま強く求められている。

このような意味で、本提言は、「知の統合」を方法論的に展開し、「知の統合」に向けた事例を深化させ具体的な方法論と方策を提示することを目的とする。

そして、提言の内容は以下の4点。

(1) 持続性社会のための「知の統合」の推進

(2) 「知の統合」のための基盤の必要性

(3) 「知の統合」のための人材育成の必要性

(4) 「知の統合」のための研究評価の必要性

また、本文中の「3 『知の統合』に向けた諸分野の連携の事例」の中で、デジタル・ヒューマニティーズ(Digital Humanities)が人文学と情報学の分野間の連携の一事例として取り上げられている(p.6)。

(1) 人文学と情報科学における事例:デジタル・ヒューマニティーズ

デジタル・ヒューマニティーズとは、情報技術を用いた人文学(人文科学)のことである。この分野では、メディア技術を用いて人文学的知識(歴史学、哲学、言語学、文学、芸術学、音楽など)の調査・分析・統合・提示を行うことにより、新たな知見を生み出すことを目標としている。従来から、人文学分野でもツールとしてのコンピュータ利用は多く行われていたが、デジタル・ヒューマニティーズでは、それにとどまらず、計算メディア・情報技術に対して新たな課題を提示するという点で、学際的な新研究分野と見做される。

この実現の背後には、1980 年代以降のIT 技術の急速な発展により生じた、人文学分野の調査手法の変革がある。その頃から、計算機運用に優れた人文学者と人文学課題に興味ともつ情報学者の連携が深まり始め、統合的な新分野が産み出されていった。とりわけ、近年、文化財保存の重要性が深く認識されるに従って,社会におけるデジタル・アーカイブの必要性が深く認識されるようになったため、統合が加速したと考えられる。また、文化財のデジタル・アーカイブ化など、具体的なプロジェクトを共同で実施することにより、人文系と情報系の研究者が共同で作業する場(実践共同体)が生じたことで、暗黙知の交換が促進されたことが成功の大きな要因となっている。

また、デジタル化された文化財のデータは、学校教育の教材や、生涯学習のための素材としても適しており、デジタル・ヒューマニティーズは人文学と社会との関係強化にも貢献している。

なお、「知の統合」に関する提言類は、『提言:知の統合-社会のための科学に向けて-』(2007 年)、『日本の展望-学術からの提言2010』(2010 年)、『記録:知の統合の具体的方策 - 工学基盤からの視点 -』(2008 年)等が既に出ているようだ。

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